森永のカフェラテが強敵・スタバの「おかげで」売れた秘密コーヒーの味わい深い戦略(3/3 ページ)

» 2018年07月04日 07時00分 公開
[服部良祐ITmedia]
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コーヒーとは“深く楽しめる”嗜好品

 森永乳業によると、17年度のチルドカップコーヒーの市場規模は約800億円。その約半分をマウントレーニアが占める。12年ごろからコンビニが相次いでカウンターコーヒーに参入した時も「あちらは缶コーヒーのブラックを飲んでいた人が買っている傾向がある」(並木さん)ため、大きな影響は無かった。ただ、近年の販売本数はやや横ばい傾向にあるという。

 そこで同社が狙うのは、今まであまりコーヒーを飲んでこなかった若年層の開拓だ。例えば17年発売の「マウントレーニア コールドブリュー」はコーヒーなのにもかかわらず、苦味を無くしてすっきりとした味わいを追求した。

photo さまざまなテイストの限定商品も打ち出す(左端のカカオミントは2018年7月4日現在、終売している)

 並木さんによると、今の若年層は大きくなっても子どもの頃の味覚、“子ども舌”のままな人が多い傾向にあるという。「苦味とはいろいろな物を食べる経験を経て後天的に得る味覚。給食などがその役割を担ってきた。しかし、今の子どもは嫌いな物を大人から無理にでも食べさせられる経験に乏しい傾向がある。苦味を味わった経験がないことからいまだに苦手な若者が多いようだ。そういった人向けのエントリー商品として売れている」(並木さん)。

photo 「マウントレーニア カフェラッテ ラテ・キャラメリゼ〜シーソルト仕立て〜」

 最近ではチョコミント味のアイスやチョコレートが若者に人気なことから、「カカオミント」味を打ち出して話題になったことも。7月3日にも若者が好むキャラメル味に塩の風味も効かせた「カフェラッテ ラテ・キャラメリゼ〜シーソルト仕立て〜」を発売した。

 「コーヒーの味は幅広い。チョコやワインと同様に知識欲すらかき立てられる“深い”飲み物。中でもうちは幅広い顧客にカフェラテの楽しさを提案している。だから競合が登場しても負けない自信がある」(並木さん)。

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