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ANAで年21万回も「グッドジョブ!」が交わされる理由3年で5倍に(2/4 ページ)

» 2018年07月04日 07時30分 公開
[加納由希絵ITmedia]

「あの時のあの人にありがとう」が可能に

 Good Jobカードの使用は徐々に広がり、「褒める文化」を掲げるANAグループの象徴的な取り組みへと成長していった。13年にはグループの行動指針「ANA's Way」をGood Jobカードの内容に反映させ、その浸透ツールにもなっている。さまざまなメディアや書籍でも紹介され、それを目にしたことがある人も多いだろう。

 しかし、Good Jobカードの取り組みは、そこからさらに1歩進んだ。14年以降に導入した新しい仕組みをきっかけに、カードの使用が爆発的に増えたのだ。

 その一つが、Web版のGood Jobカード「Good Job Box」の設置だ。手で記入しなくてはならない紙だけではなく、Webでもメッセージを送ることができれば、「増えるのは当然だろう」と思うかもしれない。しかし、Webによって可能になったのは手間を省くことだけではなかった。航空会社の現場ならではのメリットがあったという。

 空港の現場では、チェックインカウンターや搭乗口などを担当するグランドサービスもあれば、機内サービス、飛行機の整備などの業務もある。働く人たちはANAグループ内の違う会社に在籍しており、お互いに名前も知らないことが少なくない。それでも、助け合ってトラブルに対応したり、声を掛けたりすることは頻繁にある。

 紙のGood Jobカードでは、自分が所属する職場以外の人に対してメッセージを贈ることができなかった。そのため、感謝の気持ちを伝えたくても伝えられないケースもあったという。

 「Web版では、相手の名前が分からなくてもメッセージを送ることができます」(高野さん)。「あのとき、あの場面で助けてくれた人にお礼が言いたい」と思ったときに、その詳細を書き込める掲示板機能を設けたのだ。相手が見てくれていたり、周囲の人がつないでくれたりすれば、いつか感謝の気持ちが伝わる可能性は高い。

photophoto 空港では機内サービスや機体の整備など、さまざまな業務がある

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