事故物件については、銀行も、住宅ローンの提供に消極的だと、中原地產のマネージング・ディレクター、アイビー・ウォン氏は語る。融資が焦げ付いた場合、担保物件の転売が難航する可能性があるからだ。
だが、10年前であれば事故物件向けのローン申請を門前払いする銀行もあったが、近年ではこうした方針は緩和されている。
「こうした物件でも喜んで受け入れる購入者が増えるなら、銀行もより自信を持てる」とウォン氏は言う。
香港セン湾にある悪名高いマンションの1室を購入する女性に対して、HSBCは昨年住宅ローンを提供した。土地登記所の記録によれば、このマンションでは1996年に、ある男性が親族6人を殺害し、自らもガス自殺を企てているにもかかわらずだ。
香港にある数千件の事故物件について、詳細な記録を残すことを専門とする非公式のウェブサイトも存在している。似たようなサイトは台湾や日本にもあり、カナダのサイトでは、北米で殺人事件が起きた住宅などが掲載されている。
香港の不動産代理店は、事故物件を開示する法的義務こそ課せられていないが、不動産ライセンスの発行や剥奪の権限を持つ香港の監督局の下で倫理規定に縛られている。
同監督局は、2014年から今年5月までに、事故物件に関する苦情を28件受け付けたとロイターに語った。
ただ、事故物件購入を気に病まない人々は一部で確かに存在する。それが手頃な住宅価格を意味する場合はなおさらだ。
「少しも怖くなかった」──。初めて中国本土から香港に移った際に、ンさんの所有する事故物件の一室を借りていたというジェニー・ユンさんはそう言った。「皆誰でも死ぬ。それは、とても自然なことだから」
(翻訳:エァクレーレン)
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