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働き方改革関連法の成立で仕事はどう変わるか?“いま”が分かるビジネス塾(3/3 ページ)

» 2018年07月05日 06時30分 公開
[加谷珪一ITmedia]
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同一労働、同一賃金は中長期的な影響が大きい

 残業時間の規制については、大企業は2019年4月から、中小企業は20年4月から適用開始となる。高度プロフェッショナル制度は、企業規模を問わず19年4月からの導入となっており、施行と同時に職場の環境は大きく変化することになる。

 一方、同一労働、同一賃金(関連記事)については、大企業は20年4月から、中小企業は21年4月から導入される。この制度は、中長期的に労働者の待遇に大きな影響を及ぼしそうである。

 これは、正社員や非正規社員といった雇用形態に関係なく、業務内容に応じて賃金を決める制度である。この制度では、勤続年数や成果、能力が同じなら給料を同額にする必要が出てくるほか、各種手当や休暇、研修も同じ待遇にしなければならない。

 同一賃金とは、あくまでも不合理な格差が禁止されることであって、無条件ですべての待遇が同一になるわけではない。ただ、非正規社員が人件費や雇用の調整弁として使われてきた経緯を考えると、格差が縮小の方向に向かっていることだけは間違いないだろう。

 もし企業の経営に余裕がなく、総人件費を拡大できないという場合には、正社員の待遇を抑制することで、非正規社員との格差を埋めるケースも出てくるはずだ。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。

 著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。


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