コラム
» 2018年07月09日 14時23分 公開

外国人就労に変化の兆し:過去最高、それでも足りない外国人労働者 (1/3)

政府は人手不足が深刻な農業など5分野を対象として、新たな在留資格を創設する。これにより外国人就労のハードルは大きく下がった。しかし……。

[鈴木智也,ニッセイ基礎研究所]
ニッセイ基礎研究所

外国人就労の拡大が決まる

 政府は人手不足が深刻な5分野(農業・建設・宿泊・介護・造船)を対象として、新たな在留資格を創設する。

 外国人労働者は3年から5年の技能実習を修了するか、業種ごとに導入される新たな試験に合格することで、さらに最長5年の就労が可能となる。求められる日本語能力は、日常会話を理解できる程度の水準であるため、就労のハードルは大きく下がった。政府は来年4月にも新資格を創設する方針だ。

外国人就労のハードルは大きく下がった(写真はイメージです) 外国人就労のハードルは大きく下がった(写真はイメージです)

外国人就労の実態

外国人就労者数は過去最高

 厚生労働省の統計によると、2017年10月末時点における外国人労働者数は127.9万人と過去最高を記録している(図表1)

 国別には、中国が全体の29.1%を占めて最大であるが、増加率ではベトナムの前年比+39.7%が最大である。産業別には、外国人労働者の約3割が製造業で働いている状況に変わりはないが、建設業・運輸業・宿泊業などで雇用の増加が著しい。雇用先となる事業所も過去最高となる19.5万事業所を記録している。

 規模別には、30人未満の小規模な事業所が11.2万事業所と最も多く、増加率で見ても前年比+14.2%と最大であった。また、就労属性が反映される在留資格で見ると、資格外活動や技能実習などで就労が拡大している。

図表1 外国人労働者の推移(国別) 図表1 外国人労働者の推移(国別)

人手不足を補う外国人労働者

 日銀短観の雇用面を見ると、人手不足感の強まっている業界は、建設・運輸郵基礎研レター便・宿泊飲食サービスなどである。ここで、外国人就労の拡大が続く産業と人手不足の産業とを比較すると、両者はぴったり一致しているように見える。

 実際これらの産業では、外国人就労の増加率で1位・2位に来るベトナム・ネパールからの労働者が流入している。厚生労働省の統計によると、ベトナム人労働者の外国人労働者に占める割合は、建設業で42.5%、宿泊業・飲食サービス業で23.5%となっており、これらの産業で主要な労働力となっていることが分かる。

 また、ネパール人労働者は、外国人労働者全体に占める割合こそ5.4%と少ないものの、その半分近くは卸売業・小売業または宿泊業・飲食サービス業に従事している。なお、両国の労働者は、そのほとんどが単純労働の実質的な受け皿になっていると言われる技能実習または資格外活動の資格で就労している。その割合はベトナム人労働者で86.1%、ネパール人労働者で81.6%と8割を超える。

在留資格で決まる就労範囲

 外国人労働者が日本で働くためには、一定の条件を満たす必要がある。在留資格別の就労規制を図表2にまとめた。日本には在留資格が28種類あるが、そのうち就労目的で取得される資格(いわゆる就労ビザ)に該当するものは18種類ある。この就労ビザによる就労範囲は在留資格ごとに定められているため、それ以外の仕事に就くことはできない。

 就労制限を課せられていない在留資格は、永住者や日本人の配偶者などの身分に基づく在留資格だけである。また、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動(外交官等の家事使用人やワーキングホリデー等)にだけ許可を与える特定活動という在留資格もある。留学や家族滞在など5種類の在留資格には、原則就労は認められていない。ただし、資格外活動の許可を受けることによって、アルバイトやパートとして就労することが可能だ。

図表2 在留資格の分類 図表2 在留資格の分類
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