「褒め合うのはいいけど、お金をやりとりさせるのはどうなのか?」と思う人もいるかもしれない。田中社長は「現金をあげる、というのは強烈なイメージがあるようで、当初は懸念の声も頂きました」と明かす。
しかし、自社で運用している経験から、「インセンティブ設計は大事」だと主張する。当初、「発見大賞」をやっていたころは、ギフト券や掃除機などの品物を贈っていた。お金をやりとりするシステムに変えたところ、金額は決して多くないのに「社員が贈るメッセージが、より長く、熱いものになった」という。
「なぜそうなったのか、私も不思議に思ったのですが、『お金をあげる』という気持ちがあるからこそ、恥ずかしいことも言えるようになるのかもしれません。みんな、思っていることを伝えるきっかけを探しているのではないでしょうか」(田中社長)
Fringe81の田中弦社長
「ありがとう。今度メシおごるよ」というコミュニケーションは、「行きたくない」と思われてしまったら通用しない。ピアボーナスは、今の時代に機能する新しいコミュニケーションの一つなのかもしれない。お金がもらえることに目が行きがちだが、成果給の金額は、自分の頑張りや他の人とのつながりの蓄積を示す意味があるようだ。
- 社内表彰をしても、若手が辞めてしまうのはなぜか
社内表彰などの「褒める制度」を導入している企業はたくさんあるが、それはモチベーションや定着率の向上につながっているだろうか。1000社が導入した「褒め合い」システムを開発した企業に、褒める文化が根付かない理由や称賛の考え方などを聞いた。
- ANAで年21万回も「グッドジョブ!」が交わされる理由
ANAグループが実施している「Good Jobカード」。長年の取り組みだが、近年急激に利用回数が伸び、2017年には21万回に達した。称賛し合う取り組みがここまで浸透した背景には何があるのだろうか。
- 「部下を褒めると育たない」という思い込みは捨てよう
「褒めると育たない」と考える人も多いかもしれないが、本当にそうだろうか。コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんは「日本企業は“褒め赤字”」と指摘する。時代が変わった今、若い人をうまく動かすためにはどんな考え方が必要なのか。
- 社内の人間が「褒め合う」には、どうすればいいのか
「部下を褒めることは、恥ずかしいのでできない」といった上司もいるはず。とはいっても、ダメ出しばかりでは、社内の雰囲気は悪くなるばかり。どうしたら抵抗感なく、褒めることができるのだろうか。
- なぜメルカリはホワイトな労働環境をつくれるのか?
メルカリの福利厚生がホワイトすぎると話題だ。多くの日本企業は働き方改革を実践するため、残業時間の規制などに躍起になるが、根本的な誤解も多い。メルカリの取り組みを知ることで働き方改革の本質が見えてくるはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.