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» 2018年07月12日 06時00分 公開

作者は「心からおわび」:芥川賞候補作「美しい顔」、既刊本と一部記述が類似 震災への向き合い方と表現のあり方問う (1/3)

東日本大震災を題材にした芥川賞候補作「美しい顔」の一部記述が既刊本の表現と類似している問題が波紋を広げている。既刊本への配慮を欠いていたとの批判とともに、被災者の記録を扱う小説表現のあり方を問う声が上がっている。

[産経新聞]
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 東日本大震災を題材にした芥川賞候補作「美しい顔」の一部記述が既刊本の表現と類似している問題が波紋を広げている。既刊本への配慮を欠いていたとの批判とともに、被災者の記録を扱う小説表現のあり方を問う声が上がっている。(海老沢類、本間英士)

                   

ALT 「美しい顔」の記述と参考文献の類似例

 同作は、5月7日発売の文芸誌『群像』6月号に掲載された北条裕子さん(32)のデビュー小説。津波で被災した女子高校生の心情を描き、今年の群像新人文学賞を受賞した。

 ただ、北条さんは、被災地に行ったことはないという。掲載後に参考文献を精査する中で、遺体安置所に遺体が並ぶ様子を「ミノ虫」にたとえるなどの表現が、石井光太さんのノンフィクション『遺体』(新潮社)や、被災者の手記を集めた『3.11 慟哭(どうこく)の記録』(新曜社)などと似ていることが分かった。

 参考文献掲載について明確なルールはないが、新潮社は「単に参考文献として記載して解決する問題ではない」として、誠意ある対応を要求。一方の講談社は『群像』8月号で、著者ら関係者に、参考文献の未掲載や類似表現を謝罪したが、「(参考にしたのは)一部の記述の類似に限定される。著作権法にかかわる盗用や剽窃(ひょうせつ)などには一切あたりません」と主張した。

 著作権法に詳しい福井健策弁護士も、「作者が今回、作品中に既刊本から借用したのは、現実に起きた『事実』と思われる点や短い比喩表現などで著作権侵害の域にはおそらく達しない。ただし、参考文献などの配慮は欲しかった」とみる。

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