急成長する「伝説のすた丼屋」 模倣を難しくしている独自の調理法と秘伝のタレ長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)

» 2018年07月17日 10時51分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

学生街以外にも出店

 同社は5年前まで意識的に学生街に出店してきたが、現在はマルチロケーションに移行している。

 首都圏の駅前には出店余力があるが、人件費が高騰していることもあり、採算性を熟慮して慎重にセレクトしている。現在、地方で賃料が安いロードサイドへの出店が増えているが、ロードサイド店ではファミリー層が主流になっている。

 商業施設内のフードコートやレストラン区画にも積極的に出店している。商業施設は競争が激しいが、すた丼の集客力の高さが評価されており、18年2月にイオンモール旭川駅前店(北海道旭川市)、4月には新東名高速道路・清水PA(静岡市清水区)にそれぞれ新店舗をオープンしている。

photo 商業施設内の店舗

好調なロードサイド店

 このような出店戦略により、かつては1割に満たなかった女性の顧客比率が、現在は約17%にまで高まってきた。

 16年5月、日本テレビの「マツコ会議」ですた丼が紹介されたことで、知名度が全国的にアップした。伝説のすた丼屋に行ったことはないが、名前だけは知っているという人が増えている。

 17年12月に栃木県宇都宮市のロードサイドに出店したが、毎月の売り上げは1000万円を超えているという。地方に出店するとテレビ局が積極的に取材に来てくれるのもメリットだ。

 「地方のテレビ局は話題が少ないので、すた丼のオープンに飛び付いてくれるのがありがたいです。都内ではこうは行きません。18年6月に新規オープンした福島県郡山市のロードサイド店も順調です」と早川副社長の言葉も弾む。

 ロードサイド店は駅前繁華街店舗の黒を基調とした重厚なデザインではなく、白と木目の明るい色調に変えている。また、「昭和46年創業」の老舗感、伝統、専門性を前面に押し出した外装にすることで、これらの価値に好印象を持つファミリー層が入りやすい雰囲気づくりに成功している。

 車で30分かけて来店する顧客も多く、広い商圏で集客できる強みがある。アントワークスは、25万人の人口で1店が成立すると考えている。

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