ZOZO前澤社長の球界参入に「NO」を突きつける人が多い背景赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2018年07月19日 11時15分 公開
[臼北信行ITmedia]

前澤社長の真の狙い

前澤社長は千葉ロッテマリーンズを買収するのではないかといったうわさも出ているが……

 その堀江ラインに沿う形で前澤社長が現状のセパ12球団から新たに4球団を増やす球界再編へと乗り出すのではないかとみる向きもあるが、これは余りにも非現実的だ。簡単に4球団を増やすといっても、試合日程の組み方など議論すべきことは山のようにある。何より、たとえ資金があっても新しくつくられる4球団と既存の12球団との戦力の均衡化を図ることが最も困難。バランスが取れなければ試合にならず、“弱い新球団”を果たしてファンが応援し続けてくれるのかという疑問も出てくる。

 ただでさえ新参者を嫌う傾向の強い日本プロ野球界が既存球団の買収ならばともかく、採算面で自分たちにもリスクが生じかねない16球団構想に耳を傾けるとは到底思えない。今オフに何らかのアクションを起こすことを表明している前澤社長のシナリオが仮に新球団設立構想だとするならば、残念ながら絵に描いたモチで終わる可能性が大だ。

 さて、そうなると俄然、前澤社長の真の狙いはマリーンズ買収プランではないかと思えてくる。ロッテの山室晋也球団社長が「ロッテは売却する意思はありませんし、今後もありません」と明言したものの、経済界は山の天気と同様に数時間先でもどうなるか分からない。これを額面通りに受け取るのはいささか早計だ。

 Forbes(フォーブス)誌によれば、17年3月の時点で前澤社長の総資産は実に約3330億円。スタートトゥディの企業規模も18年3月の時点で商品取扱高が2705億円(前年比27.6%増)もあり、営業利益も326億円(同24.3%増)となっている。現状の野球協約では新規参入の場合、預かり保証金など約30億円が必要で、既存の球団買収となると少なくともその3〜4倍以上の資金が必要となるが、前澤社長率いるスタートトゥデイの保有資産ならば、いずれもまったく問題なく工面できるはずである。マリーンズを買収し、経営できるだけの体力は十二分に持ち合わせていると断言していい。

 ちなみに多くのマリーンズファンは前澤社長のつぶやきに対して、好意的な目を向けているようだ。親会社であるロッテホールディングスの名誉会長で球団オーナーを務めている重光武雄氏は、実子でオーナー代行を務めていた昭夫氏とともに横領などの罪で国籍を持つ韓国国内で実刑判決を受け、その求心力は球団内でも急速に低下しつつある。

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