お店のミライ

セブンが「100円生ビール」を中止した、2つの心当たりスピン経済の歩き方(4/6 ページ)

» 2018年07月24日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「コンビニ前喫煙」がもたらすもうひとつのリスク

 コンビニ前に灰皿が置いてあって、そこへさらに生ビールまで売るようになれば、普通の喫煙者はここで吸っていいのだなと思う。ダメと言われたら、ちょっと離れた路上でプカーとやるのは目に見えている。そして、もし灰皿がないような店ならば、そのままポイ捨てをしてしまう不届き者も出てしまうかもしれない。

 つまり、「喫煙スペース」の問題をクリアしないまま、「100円生ビール」をスタートさせてしまうということは、セブンの店前はもちろんのこと、その周辺の路上や近所へ「たばこ」がもたらす「害」を拡散させてしまう恐れがあるのだ。

 さらに、この「コンビニ前喫煙」をナメてはいけないのは、セブンの本部が恐れている、もうひとつの大きなリスクを引き起こす点にある。

 それは「店と客のトラブル」だ。

 セブンの店前で、生ビール片手にたばこをスパスパやっている人やポイ捨てする人が増えてしまうと、先に触れたように、嫌煙家のみなさんからのクレームが寄せられることは間違いない。

 「買い物に来たら、煙を吸わされた」「幼い子どももいるんだから遠慮してほしい」「今日び、居酒屋だって受動喫煙防止を気にしているのに」――。そんな怒りの声が殺到することだろう。

 そうなると、ただでさえ多種多様な日常業務を行うコンビニ店員に新たに、「喫煙者の注意」という業務が加わることになる。これは店のブラック化を招くだけではなく、大げさな話ではなく、命の危険ももたらす。

 ここで注意する相手はただの喫煙者ではなく、「酔った喫煙者」だからだ。

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