コックピットクルー削減は、まず貨物機から始まる可能性があり、1980年代にボーイング757など新型ジェット機の設計改善によって航空機関士が廃止され、操縦に必要な人数が3人から2人に削減されたときと同様に、避けがたい動きだと削減支持派は指摘する。
「パイロット1人制」の導入は、世界各国の航空会社にとって年間約150億ドル(約1.7兆円)のコスト削減につながる可能性があり、現在パイロット不足に悩んでいる航空産業にとっても、十分な数のパイロットを確保しやすくなる、とUBSは指摘する。
操縦席にずらりと並ぶノブやスイッチを、10代の若者にも馴染みのあるデジタル化されたインターフェイスに置き換えれば、訓練期間を短縮して、さらにはパイロット不足の緩和につながる可能性がある。
最終的には、自動運転車の流れに沿って、民間ジェット機の完全自動操縦を目指すことになるだろう。とはいえ、この技術のためには主要メーカーによる白紙の状態からのジェット機設計が必要となり、タレスの試算によれば、実現には2040年までかかるという。
「自動操縦は、われわれのシステムに、心臓切開手術を行うようなものだ。現行システムはすべて、操縦室に常にパイロットを2人配備するように設定されている」とエアバスのデュモン氏は語る。
だが、こうした削減方針に対する批判もある。長距離フライトでは操縦室に3人以上、短距離フライトでも最低2人のパイロットを配備することには、安全上の正当な理由があり、そのメリットはコスト面でのデメリットを上回る、というのだ。
Copyright © Thomson Reuters
Special
PRアクセスランキング