胸の大きい女性が胸を張って着られる服を 27歳女性起業家の挑戦自身の悩みが出発点(3/3 ページ)

» 2018年07月25日 07時00分 公開
[服部良祐ITmedia]
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半年分の注文が2日間で殺到

 転機が訪れたのは2018年2月。東京・池袋のパルコで期間限定のショップを出店したときのこと。熱心なユーザーが「私は胸の大きさで悩みがありoverEを応援している。他の人が試着できるように限定ショップに出店させてほしい」とパルコにメールしたのがきっかけだった。

 するとパルコでの出店を知った別のユーザーがTwitter上に、overEの服がいかに胸の大きな女性にとって着やすいか分かりやすく説明した漫画を投稿。「ほんとに感動するほど胸の下のラインがすっきりする」「なんと今なら池袋パルコに限定ショップもある」などと書き添えた。

photo overEのヒットの引き金となったTwitterにアップされた漫画。作者はプロの漫画家ではなく一般の人とか

 このツイートは約2.5万リツイートを記録。それまでフォロワーが1500人程度しかいなかったoverEのアカウントは1日で約1万人にふくれあがった。Twitterでの盛り上がりはすぐにオンラインショップに波及。2日間で約250万円売り上げて商品は完売、和田さんは「それまでの半年分の注文が2日間で殺到した」と振り返る。

 その後もTwitter上では多くのユーザーが「今なら池袋のパルコに限定ショップがあるよ」と次々にツイート。結果、約16平方メートルのイベントスペースで過去最大の売り上げを記録した。

 和田さんは「胸の大きさは身体に関わる情報なので、overEについてユーザーはInstagramより匿名性の高いTwitterで情報発信する傾向が強い。彼女たちが口コミで広めてくれている」とみる。実際に今も、自分がoverEの洋服を着用した写真をアップして広めるために、わざわざTwitterで別アカウントを取得するユーザーがいるという。

 今や月商1000万円を超えたoverE。期間限定ショップは首都圏だけでなく大阪にも広がった。ユーザー数十人に描いてもらったワンピースのイラストについてTwitterやイベントで人気投票を行い、実際に商品に仕立てるプロジェクトも進行している。

 「胸の大きな女性が胸を張って着れる服を」。1人の女性の切実な願いから始まったoverE。一見ニッチに見えるこのブランドは、同じ悩みを持つ女性たちの要望を丁寧に吸い上げて地道にユーザーを増やしていった。SNSに拡散した彼女たちの声をきっかけに多くの女性の共感を呼び、ついには新市場を切り開くことに成功したといえる。

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