ジムに通うと安くなる保険から考える、健康維持の秘訣とは“いま”が分かるビジネス塾(3/3 ページ)

» 2018年08月02日 07時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]
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当たり前の結論かもしれないが

 サービス加入後、利用者はさまざまな健康増進活動を実施することになるが、内容は大きく分けて4つある。1つ目はWebサイトから行う各種チェック項目の入力、2つ目は健康診断の受診と結果の提出、3つ目はがん検診などの受診、4つ目は運動の実施である。それぞれ最大で3000ポイント、10000ポイント、2000ポイント、14000ポイントが付与されており、これらの総合値で毎年のステータスが決まる。

 ステータスが大きい方が割引率も大きくなるが、一定水準に達しない場合には、逆に保険料が値上がりすることもある。

 私たちが注目すべきなのは、このポイント数のウェイトである。つまりポイント数が多い方が割引率が高いので、健康への効果も大きいということになる。

 4つの項目で最もポイント数が多いのは「運動」である。

 例えばウォーキングによる歩数は、64歳以下の場合、8000歩で20ポイント、1万2000歩で60ポイントとなっている。歩数が増えるほどポイントも多くなるので、できるだけたくさん歩いた方がよいということが分かる。ただ、65歳以上になると同じ20ポイントを得るために必要な歩数は6000歩に減少する。高齢になったら、むやみに歩かない方がよいと解釈できる。

 一方、心拍数の上昇を伴う運動については、心拍数が高い方が同じ運動時間でも得られる効果が高い。ちなみにジムに通うのは60ポイントとなっており、1万2000歩のウォーキングと同レベルである。

 検診については、がん検診などの結果を提出することのポイントが高い。一般論として、がんは早期発見した方が予後は良好になる確率が高いとされているので、こまめに検診を行うのが大事である。たばこについては、食生活のチェックと同じポイント数になっている。たばこが論外なのは自明の理だが、禁煙と同時に食生活も重要であると考えた方がよいだろう。

 整理すると、可能な限り運動を行い、定期的に検診を受けた方が健康でいられる確率が高く、食生活の改善がもたらす効果は高い。一方、年を重ねてきたら、無理な運動はせずほどほどにしておいた方がよい。当たり前といえば当たり前の結論だが、保険会社がビジネスにしているくらいだから信頼性は高いはずだ。まずは食生活の改善とウォーキングあたりから始めてみるのがよいだろう。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。

 著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。


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