チョコミントアイスが日本で定番化した理由についてもサーティワンが長年、多くの人にこの味と色を周知させた結果とみる。「自分では食べていなくとも、(商品などを)繰り返し目にすると親近感がわく。心理学における『単純接触効果』が働いた」(坂井教授)
ただ一方で、「(青色について)日本人の意識全体が大きく変わったとはいえない」とも坂井教授は指摘。「あくまでアイスでチョコミントは定着した。しかしパンなど他のジャンルの食品については、SNSなどで『特別なものを食べてます』と他の人にアピールするツールとして使われているだけ」(坂井教授)
特に「インスタ映え」に代表されるInstagramの影響力は強いとみる。「普通の食品を食べてもいちいち(SNSで)他の人に言わない。でもチョコミント系の商品は多くの人がInstagramに載せるだろう」(坂井教授)。味そのものを楽しむより、「こんな変わったものを食べた」と発信する目的で購入していると指摘する。
坂井教授はチョコミント味はアイスでは定番品になったものの、パンや他の菓子で定着するのは難しい可能性があると指摘する。「そもそもミントは口の中で冷たさを感じる部分を刺激する性質がある。ほかの味のものよりミント味の食品は冷たく感じられるのでアイスに向いている。ミントだけでは苦味があるのでチョコと相性がよい」(坂井教授)
一方、アイス以外の菓子やパンの購入理由については「特別な物だろうから、まだ売られているうちに食べておこうという心理も働いているのでは」とみる。「数量限定、地域限定の商品に消費者が飛びつくのと一緒。おいしいと思うかどうかはあくまで個人個人(の判断)」(坂井教授)。実際、18年に入って発売されたチョコミント味のスイーツやパンのうち、既に店頭から消えた物も少なくない。
7月にはケンコーマヨネーズ(東京杉並区)が真っ青な業務用ドレッシングを発売するなど、日本の食卓にも少しずつ顔をのぞかせている「青系」食品。ただ日本人の色と味覚の先入観を乗り越えるには、インスタ映えなど見た目の話題性だけでなくしっかりしたマーケティングによる周知が必要なようだ。
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