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オオグソクムシにウミグモ! 不気味な深海生物を食べ続ける水族館員のシンプルで真摯な理由新連載:ショボいけど、勝てます。 竹島水族館のアットホーム経営論(2/6 ページ)

» 2018年08月09日 07時30分 公開
[大宮冬洋ITmedia]

埋めたり捨てたりするのはかわいそう。「グルメハンターさんちゃん」誕生秘話

 蒲郡市は深海魚漁が盛んで、三重県沖や和歌山県沖の深海で多様な魚を獲る。竹島水族館は漁師たちと協力関係にあり、希少な海の生物が網にかかった場合は連絡を取り合っている。ただし、水族館に搬入された時点で弱っており、すぐに死んでしまう個体も少なくない。それらの一部を調理して食べ、多くの人に未知なる深海生物の味を伝えるのが「グルメハンターさんちゃん」こと三田さんの使命である。

phot 希少な魚、ウチワフグ。死んだ状態で搬入されたため三田さんが登場。「内臓付近の脂身も食べてしまい、後から戸舘さんにすごく叱られました」 (以下、 深海生物の写真は三田さん撮影)

 「釣り好きの祖父と父の教えは、『釣った魚はおいしくてもまずくてもちゃんと食べる』ことです。どんなにまずい魚でも唐揚げにすれば食べられます。僕の実家は名古屋市の北区で、堀川という川の近くにあったので、子どもの頃はそこでヘラブナやオイカワ(ハヤ)、ブルーギル、ブラックバス、コイなどを釣って来て食べていました。ヘラブナは泥臭いのですが、祖母がフナ味噌(みそ)にしてくれたのを覚えています。フナと味噌を原型がなくなるまで一緒に煮込んで作る郷土料理です。ご飯にかけて食べるとおいしいですよ」

 オイカワやコイも食べていたくだりに早くも三田さんの異常性を感じるが、より強烈なエピソードがある。大事に飼っていた金魚が死んでしまったとき、焼いて食べたというのだ。

 「川魚なので骨は多いのですが普通に食べられますよ。たんぱくな白身魚です。サヨナラして土に埋めるのはかわいそうだと思ったので、食べてあげることにしました」

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