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お客さんがついつい買いたくなる、「ノンクロージング話法」とは?説得ではなく、納得(3/4 ページ)

» 2018年08月13日 07時00分 公開
[井上敬一ITmedia]

営業力とは質問力

 人が買いたいと強く思うときは、なにか問題を解決したいときか、さらによくなりたいと思うときだけ。問題を強く自覚していないのは現状に満足している状態で、よりよい未来とのギャップも生まれず購買につながらないのです。というこわけで、営業マップで(1)の問題発見が最も大切なのです。

 「あなたの悩みは何ですか?」や「御社の解決したい課題は何ですか?」など伝え方はさまざまですが、とにかく自分の話や商品の説明などは後回し。お客さんの問題を発見することに全力を注いでください。そのために質問を投げかけて先方の問題に全力で寄り添い、問題を相手に自覚してもらうのです。

 問題発見ができれば、(2)の「よりよい未来」の段階に移ります。

 「御社が目指す最高の状態は?」や「今は問題ないが将来的に起こる問題に対してどの様に手を打ちたいですか?」といった質問を投げかけて、それに答えてもらう。そして、本人によりよい未来の想像をしてもらいます。

 この段階において重要なのは、営業マンにとってこうなればよいですよね、という押し売り感が強くないかどうか。あくまで大切なのはお客さんにとって「よりよい未来のために」という気持ち。そのためにも(1)の段階でしっかりと先方に寄り添い、相手の問題発見に全力を尽くすこと、それを認識してもらうことが大切です。

 ここまでできればあとは(3)の「そこに至る解決策」の提示だけをすればノンクロージングで売れていきます。

 「いろいろとお聞きすると、あなたにピッタリな商品は◯◯です」や「このサービスを導入すると御社のコストが◯%下がるので業績も回復するかと思いますよ」など。

 ここまでにしっかりとヒアリングしており、なおかつ先方の問題を本当に解決したいと思っているマインドで接してきたなら、こちらの解決策を拒む理由がありませんよね。医者が完璧な治療方法や薬を提供するのと同じくノンクロージングで商品やサービスは売れていきます。

 ここまでの流れや営業マップを見ても分かるように、営業力とは自分が商品の説明や、お客さんにとってこの商品がいかによいのかを話すことではありません。徹底的にヒアリングして、問題発見をすることと、よりよい未来を想像するための質問をし、先方に話してもらうことが重要です。そうです、営業力とは質問力なのです。

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