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「パワハラ、セクハラ、マタハラ」への対策は? 人事担当者必見の「働き方改革」用語解説必須キーワードを識者が解説(1/3 ページ)

» 2018年08月14日 08時30分 公開
[高仲幸雄ITmedia]

「働き方改革」の用語解説

働き方改革関連法が可決・成立し、企業にも具体的な対応が求められます。企業の人事担当者が押さえておくべき「働き方改革」のキーワードをピックアップ。労働問題を扱う新進気鋭の弁護士が、用語の概念と企業が取るべき具体的な対策方法を解説します。今回は「パワハラ・セクハラ・マタハラ」を取り上げます。


 今回は、パワーハラスメント(パワハラ)、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、妊娠・出産などに関するハラスメント(マタハラ)について取り上げます。

photo どんな行為がNGなのかを把握していないとトラブルに発展する(写真提供:ゲッティイメージズ)

1.パワーハラスメント

 「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」では、職場のパワーハラスメントについて「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義し、以下の6つの行為類型が示されています。

(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)

(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)

(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)

(5)過少な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

 パワーハラスメントの対策については、2017年3月に決定・公表された「働き方改革実行計画」で以下のように述べられています。

(パワーハラスメント対策、メンタルヘルス対策)

 労働者が健康に働くための職場環境の整備に必要なことは、労働時間管理の厳格化だけではない。上司や同僚との良好な人間関係づくりを併せて推進する。このため、職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う。併せて、過労死等防止対策推進法に基づく大綱においてメンタルヘルス対策等の新たな目標を掲げることを検討するなど、政府目標を見直す。

 そして、17年5月から「職場のパワーハラスメント防止対策の検討会」において検討が開始され、18年3月に報告書が公表されています。また、18年6月に成立した「働き方改革関連法」でも、参議院附帯決議において以下の通りパワーハラスメントについて言及されました。

 三十八、本委員会における審査を踏まえ、職場におけるパワーハラスメント等によって多くの労働者の健康被害が生じており、その規制・防止を行うことが喫緊の課題であるとの共通の認識に基づき、国際労働機関(ILO)において「労働の世界における暴力とハラスメント」の禁止に向けた新たな国際労働基準の策定が行われることや、既に国連人権機関等からセクシュアルハラスメント等の禁止の法制度化を要請されていることも念頭に、実効性ある規制を担保するための法整備やパワーハラスメント等の防止に関するガイドラインの策定に向けた検討を、労働政策審議会において早急に開始すること。また、厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書を踏まえ、顧客や取引先からの著しい迷惑行為について、関係者の協力の下で更なる実態把握を行うとともに、その対応策について具体的に検討すること。

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