作業服のワークマンが、新たな市場をつくりそうな理由水曜インタビュー劇場(新業態公演)(4/6 ページ)

» 2018年08月29日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

お客さんから教わっていることが多い

ファインドアウトの「耐久撥水ウォームジャケット」(2900円)

土肥: 3ブランド発売からまだ2年ほどしか経っていないのに、状況が大きく変わりました。社内からも変化のスピードに付いていけなくて大変、といった声もあるのでは?

土屋: お恥ずかしい話になりますが、ワーキングとアパレルの垣根が下がっていることを知るのに、時間がかかってしまいました。「自分たちは何をつくって、何が売れるのか」をきちんと理解していなくて、お客さんから教わっているといった感じ。気付かないうちにどんどん広がっていて、後追いでつくってもつくっても追いつかない状況でした。当社が現場で働く人たち向けにつくったモノが、実は一般の消費者にも必要なモノだったんですよね。

土肥: なるほど。次に「価格」についても教えてください。ひとことで言えば「安い」ですよね。目玉商品を見ると、フィールドコアのブルゾンは2900円、イージスの防水防寒スーツは6800円、ファインドアウトのブルゾンは1900円(価格はすべて税込み)。防寒機能が付いているスーツやジャンパーを実際に着てみると、お世辞抜きにして「暖かい」。素材も薄っぺらではなくて、防水機能を搭載しているモノもある。それでも1万円札を出せばお釣りをもらえる。他社で購入すると、数万円はするようなモノなのに、なぜ低価格で販売することができるのでしょうか?

ファインドアウトの「クロスシールドブルゾン」(1900円)

土屋: 当社で調べたところ、スポーツメーカーに比べて3分の1以下、アウトドアメーカーに比べて半額以下で販売していることが明らかに。なぜこうした価格を設定できるのかというと、大量生産しているから。アパレルメーカーであれば1アイテム1〜2万着ほどつくると思うのですが、当社の多くの商品は10万着以上なので、価格を抑えることができるんです。

 なぜ大量生産しているのかというと、現場で働いている人は何着も必要になるんですよね。真夏であれば1日に2〜3回は着替えますし、汚れなどで着替えることもある。過酷な状況で使っていれば、2〜3カ月でダメになることも。ということもあって、たくさんつくって、たくさん売れる。

 あと、多くのアパレルメーカーは商品を値引いていますよね。販売当初は定価で売っていても、売れ残ると安く販売する。当社はどうしているのかというと、売れ残ったモノがあれば、そのまま保存して翌年に販売する。デザインが大幅に変わることがほとんどないので、翌年も販売することができるんです。廃盤になったアイテムは値引きをするのですが、そうした商品は全体の2%以下です。

土肥: 低価格を実現しているのは、大量に生産していること、基本的に値引きをしないこと、この2つが大きいわけですね。

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