作業服のワークマンが、新たな市場をつくりそうな理由水曜インタビュー劇場(新業態公演)(5/6 ページ)

» 2018年08月29日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

空白の市場規模は4000億円

土肥: これだけの価格差があると、他社も脅威に感じるのではないでしょうか。いわば閉じられた世界で販売しているうちは、他社も「まあ、大丈夫だろう」と感じていたかもしれませんが、ショッピングセンターに出店して数年以内に100店を目指すとなれば、うかうかしていられない。

土屋: 下の図を見ていただけますか。自社でアパレルとスポーツウェア業界を調べたところ、ワークマンプラスは「高機能」「普及価格」のゾーンになる。現在この市場は空白になっていて、4000億円ほどあるのではないかと。

 ブランド志向の人は海外スポーツやアウトドアのブランドで購入するでしょう。デザインを重視している人はセレクトショップなどに足を運ぶでしょう。ただ、ブランドはいらない、デザインも気にしない、とにかく耐久性があるモノが欲しい。そんな人がたくさんいるはずなのに、これまでそうしたニーズを満たすような商品がなかったのではないでしょうか。

土肥: その昔、アウトドアブランドも閉じられた世界でしか普及していませんでした。例えば、山登り用のグッズは登山家しか使わないといった感じで。ただ、一般の人でも使えるような商品が並び始めて、いまでは当たり前のように使っている。「寒さに強い○○」といった文言のアイテムはたくさんありますよね。

 また、スポーツウェアでも状況がよく似ています。創業当時はアスリート用のウェアをつくっていたのに、いまでは最先端のファッションとして欠かせないモノになっている。このように考えると、これから“とにかく丈夫なモノ”を求める人が増えて、次にファッションの世界に入っていくかもしれません。

土屋: ただ、一般の人に売り出すにあたって、ちょっとした悩みがありまして。商品をどのように打ち出していけばいいのか、まだよく分かっていません。当社の商品は業界の人向けに販売してきたので、専門用語が多い。一般の人に販売するにあたって、そうした言葉を“翻訳”しなければいけません。

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