石川さんは現在、ネスレの商品を扱うスーパーマーケットなど、担当として割り当てられた27の店舗を巡回し、できるだけ多くの商品を置いてもらえるようにアピールするという仕事をしている。
過去に乳製品メーカーで働いていた時、担当していたスーパーの売り上げを2カ月間で800万円から1億円に伸ばしたという経験があり、大きな達成感を得た石川さん。営業の仕事を嫌だと感じたことはなく、今でも営業ができること、個人的にも好きな「ネスカフェ」や「キットカット」といった主力商品を扱えることに喜びを感じているという。
時代によって商習慣の変化はあるが、石川さんが考える営業の一番のポイントは、昔も今も変わらず「人間関係」だ。
「乳業界にいたときは、競合他社がたくさんいる中でどうやってうちの商品を陳列してもらえるかを考え、朝と夕方にトラックから荷物を下ろすスーパーの作業の応援に行っていました。朝4時ごろ起きて、『今日はどのお店』と決めて行くんです。一緒に荷物を出しているとパートさんにも店長さんにも名前を覚えてもらえるので、何かの時に『あの商品を置いてみようか』と思っていただけるんです。今もなるべくお店に顔を出して、担当の方に『ネスレさんが来てくれた』と分かってもらうことが大事だと考えてやっています」(石川さん)
自分より年下ばかりの同僚に対しては、力になれそうだと感じることがあれば、黙ってサポートするようにしている。逆に、業務で必要なPCやスマートフォンの操作方法が分からず、助けてもらうこともあり、それがコミュニケーションのきっかけにもなったそうだ。
このエピソードに、芹澤さんは大きな意味を感じたという。
「長年違うところで働いていた方が入ってこられると、『こういう考え方もあるんだ』という気付きにつながることはもちろん、我々が思った以上にダイバーシティの効果があると感じています。同じ会社にずっといると、年齢が違っても先輩と後輩でしかありません。そんな関係の中で『PCができない』と言うと、『あの人は仕事ができない人』と見られてしまうのですが、外から来た人なら『苦手なんだ。じゃあ助けてあげよう』となる。できないことがお互いに話せるというのは実はすごいことで、シニアスペシャリストを採用する意義のひとつだと思いますね」(芹澤さん)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング