じぶん銀行が「ガチで萌える」2次元美少女の行員を作りこむ深い訳「安易な萌えキャラでオタク釣るな」と言われ(4/4 ページ)

» 2018年09月07日 07時00分 公開
[服部良祐ITmedia]
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サービス名連呼する大手のCMと差別化 

 しかし、じぶん銀の目標はあくまでカードローンのPRであってつぐみさんのメディア展開ではない。彼女の売り出しに強くこだわる背景について関口さんは「もともとカードローンはコミュニケーションを見直す時期。ずっと悩んでいた」と打ち明ける。

 大手の消費者金融がカードローンのCMでよくとるのが、莫大な資金を投じてテレビやYouTubeなどでサービス名を連呼する戦略だ。認知度をあらかじめ上げることで、消費者が急にお金を借りる必要が出たときに思い出させる狙いがある。

 じぶん銀はそういった大手より規模で劣り、マス広告に多額の費用を掛けられない。そこで目を付けたのが比較的少額で済むSNS広告だ。特に現在の主要顧客が40代であることから、20〜30代の比較的若い世代、中でも女性に比べローンを使う傾向にある男性を開拓するためTwitterのターゲット広告を強化した。

 また、カードローンは過剰融資が常に問題になる業界だ。度重なる批判を受けて17年には全国銀行協会が各行に防止策を求める申し合わせを行った。18年にも、金融庁の調査で国内の銀行の9割が何らかの融資上限枠を設定したことが明らかに。ただ、それでも過重債務に苦しむユーザーは後を絶たない。

 じぶん銀は9月、HP上の利用案内ページを刷新する。つぐみさんがまず「オタク趣味な物を買おうと思ったがお金が足りないとき、どうカードローンを利用したらいいか」「無理のない範囲でローンを使うコツ」といった説明を行い、本来ならサービスの売りとなる金利などの情報は後ろに回すという。

 関口さんは「一部でイメージが悪化しているカードローンだからこそ、つぐみに丁寧に説明してもらいお金の必要な場面で上手に使ってもらいたい」と話す。2次元の美少女行員は男性ファンに“萌え”だけでなく、ローンを使うことへの納得感や安心感もリアルに与えられるか。

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