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「派遣の2018年問題」まで残り3週間 企業は「期間制限」にどう対応するか?今月末で抜本転換(4/5 ページ)

» 2018年09月10日 08時00分 公開
[高仲幸雄ITmedia]

余裕を持ってスケジュールを組む

5.労働者派遣に関する書類を確認する

(1)労働者派遣法では「派遣先」と「派遣元」との間で締結されている労働者派遣契約書(基本契約書と個別契約書に分かれていることがあります)に加え、派遣先と派遣元の双方に管理台帳などの書類の作成・保存が義務付けられています。そこで、労働者派遣における対応ではすでに作成・保存されている書類の内容を確認し、それを踏まえて今後の対応を検討する必要があります。

(2)「事業所単位の期間制限」では、派遣先から派遣元に対して「抵触日通知」の書面が送付されることになっています。

 この期間制限のカウントは、派遣先事業所において15年9月30日(法改正施行日)の後、新たに期間制限の対象となる派遣労働者を受け入れた初日から起算されるので、派遣先事業所ごとに期間制限の期間日・抵触日が異なります。そのため、派遣先から派遣元(派遣会社)に送付している「抵触日通知」の内容を確認する必要があるのです。

6.スケジュールを組む

 15年の改定労働者派遣法の施行によって、派遣先が同一事業所内で派遣労働者を継続して受け入れることができる期間は原則3年となりました。しかし「事業所単位の期間制限」では、期間制限の抵触日の1カ月前までの間(意見聴取期間)に「派遣先の過半数労働組合又は過半数代表者(過半数組合等)」からの意見聴取をすれば、派遣期間を延長できます(労働者派遣法40条の2第3項および第4項)。

 この意見聴取は、書面通知により行う必要があります(同法施行規則33条の3)。これらの書面の作成・通知には一定の時間を要しますし、過半数組合などで意見を述べるに当たっての考慮期間も必要です。

 また、過半数組合などが異議を述べた際には、抵触日の前日までに、延長理由などを説明する必要があり(次の「7.必要な書類を準備する」参照)、そのための準備も必要です。

7.必要な書類を準備する

 過半数労働組合などに意見を聴取するためには以下の事項を書面で通知する必要があります。

(1)派遣可能期間を延長しようとする事業所(2)延長しようとする期間

 これに加えて(3)事業所における派遣労働者の受け入れ状況、(4)回答期限も記載することがあります。(4)回答期限までには、回答がない場合は意見がないものとみなす旨の記載もしておいた方がよいでしょう。

 派遣先は、過半数労働組合から異議が出たときは、抵触日の前日までに(i)延長理由と延長期間、(ii)異議への対応方針を説明する必要があります(労働者派遣法40条の2第5項、同法施行規則33条の4第1項)。

8.書類の通知や周知、保管義務を確認する

 派遣先が意見聴取の際に、過半数組合などに通知した事項や異議に対して説明した内容については、3年間の保存と、事業所における周知が義務付けられていいます(労働者派遣法施行規則33条の3、33条の4)。また派遣先は、派遣可能期間を延長したときは、延長手続きによる延長後の新たな抵触日を速やかに派遣元に通知しなければなりません(労働者派遣法40条の2第7項)。

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