スシロー幹部が熱弁「価格改定は新たなチャレンジだ」「築地コラボ」でさらなる飛躍へ(1/3 ページ)

» 2018年09月13日 15時28分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 「価格改定がどんな結果を生むかは、やってみなければ分からない。商品の品質が成功のカギになるだろう」――。回転すしチェーン「スシロー」を運営するあきんどスシローの堀江陽執行役員は、9月13日に開いた会見でこう話した。

 スシローは翌14日から、すしの価格帯を改定する。現在は100円、180円、280円の3段階としているが、変更後は100円、150円、300円とする(価格は全て税別、以下同)。中価格帯のすしを手に取りやすくし、高価格帯のすしの品質を高める狙いがあるという。

photo スシローが価格を改定する

 ただ、持ち株会社・スシローグローバルホールディングス(GHD)の2017年10月〜18年6月期の連結決算によると、売上高は前年同期比11.5%増の1280億円。通期では11.9%増の1750億円で着地する見込みで、業界トップに位置する。

 また、18年4月〜8月にかけては、全店売上高・既存店売上高・既存店客数・既存店客単価の4指標がいずれも前年実績を上回っている。

 このような好調を維持しながら、なぜスシローは価格変更に踏み切るのか。30円値下げした中価格帯のすしに顧客のニーズが集中した場合は、客単価が下がる危険性もありそうだが、勝算はあるのか。

お客を飽きさせないチャレンジだ

 会見で堀江執行役員に見解を聞いたところ、「今回の価格変更は、お客さまを飽きさせないための新たなチャレンジだ。他社と差別化を図りたいわけでない」と回答。

 なぜ価格変更が今なのか? との問いに対しても、「新たなチャレンジが必要だったため」(堀江執行役員)と繰り返した。

 高価格帯の商品を値上げした理由については、「これまでの顧客データを分析した結果、お客さまが単価の低い商品よりも高い商品を食べた時のほうが、満足度が高いことも分かっているため」と説明。

 客単価が下がる可能性については「ゼロではないが、300円の商品を手に取ってもらえるよう工夫する。今後は今まで以上に、質の高い商品を充実させていきたい」と語った。

築地の匠とタッグ

 価格改定後の第1弾の施策として、スシローは14日から、築地市場で営業するすし店とタッグを組んだ「築地の匠×スシローフェア」を行う。

 10月上旬に同市場が豊洲へと移転することを踏まえ、「(長年の歴史に)敬意と感謝の気持ちを込めた」という同フェアでは、築地で働く職人が商品を監修。素材のうま味を引き出す技法を調理プロセスに取り入れたほか、職人が調達した高品質なネタを一部に使用している。

photo 観光客や労働者でごった返す築地市場
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