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なぜ安室奈美恵は私たちの心を揺さぶり続けるのか?「平成の歌姫」の生きざま(4/5 ページ)

» 2018年09月15日 09時20分 公開
[伏見学ITmedia]

ポップスターからの転身

 約1年間の産休・育休を経て、98年暮れの「NHK紅白歌合戦」で見事に復帰する。歌唱中に瞬間最高視聴率は64.9%を記録したという。

現在の渋谷センター街には、至るところに安室さんのキャンペーン広告が 現在の渋谷センター街には、至るところに安室さんのキャンペーン広告が

 音楽のメジャーシーンに再び安室奈美恵が君臨と思われたが、2001年に入ると小室さんのプロデュースを離れ、R&Bやヒップホップ色を強く打ち出した、まさに自分自身がやりたい音楽、パフォーマンスを追求するようになるのだ。ポップスターからR&Bクイーンへの転身である。テレビなどにもほとんど出なくなったが、それは本業である歌うこと、踊ることに集中するためで、活動の中心をライブに移した。

 そして今、再び日本で最も注目されるアーティストの一人になったといっても過言ではない。それは安室さん自身が信じる道をひたむきに進み続けたからこその結果であり、そのたどってきた道に多くの人々が共感、共鳴したのである。

 もう1つ、安室さんが愛される理由――。それは彼女の陰の部分も関係あるのかもしれない。生まれ育った家庭環境、母親の死、離婚など、人生は苦労の連続だ。そうした出来事がありながらも、弱さを見せずにステージに立ち続け、常に最高のパフォーマンスを発揮しようとする姿に人々は心が締め付けられる。「なぜあなたはそこまで強いのか」と。

 そんな安室さんは間もなく引退する。

 「引退までのこの1年、アルバムやコンサート、最後にできる限りの事を精一杯し、有意義な1年にしていきたいと思ってます。そして、私らしく2018年9月16日を迎えたいと思います」(引退発表時のコメントより)

 自分らしい生き方を貫いてきた安室さん。どんな気持ちでこの日を迎えるのだろうか。

沖縄コンベンションセンターに隣接する宜野湾トロピカルビーチ。9月16日にはここで安室さんの楽曲に合わせた音と光の花火ショーが開かれる 沖縄コンベンションセンターに隣接する宜野湾トロピカルビーチ。9月16日にはここで安室さんの楽曲に合わせた音と光の花火ショーが開かれる

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