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増税前に買ってはいけない! 「虚大都市・東京」のマンション事情増税と金利上昇で「値下がり」へ(2/5 ページ)

» 2018年09月19日 07時30分 公開
[中西享ITmedia]

気掛かりな消費税と金利動向

photo 不動産コンサルタントの長嶋修氏(長嶋氏からの提供)

 高額物件を購入する上で気になるのが、2019年10月に予定されている消費税の増税だ。不動産コンサルタントの長嶋修氏は「消費税増税の影響は、思いのほか、大きいのではないか。京都大学が実施した消費者心理実験の結果が興味深い。この実験では、10%の増税になれば、消費税分の計算が簡単になるため、消費税に対する心理的負担が大きくなるのではないかとみている」と話す。

 新築マンションを建設する大手デベロッパーへのアドバイザリー業務などを手掛けているトータルブレイン(東京・港)の久光龍彦社長は「マンション販売会社は、今年の秋から来年の3月までの間に、消費税が上がることを猛烈にセールストークの材料にするだろう」と話し、消費税引き上げをにらんで駆け込み需要が起きると予想する。

 マンション価格に大きな影響を与えるもう1つの大きなトレンドが、長期金利の動向だ。長期金利が上がれば住宅ローン金利に影響する。今年の7月までは0.1%以下だった長期金利は8月に入って日銀が金利上昇を容認したこともあって0.1%を上回る水準になっている。8月以降に10年国債の金利が上昇したことを受けて、みずほ銀行、ソニー銀行など多くの銀行が固定金利を引き上げた。引き上げ幅は、0.05%程度と小幅な引き上げにとどまる銀行が多く、ローンへの影響は限定的となっている。

 長年にわたり不動産市場をウォッチしてきた、みずほ証券の石澤卓志前上級研究員は「長期金利の動向が今後のマンション価格を占う最大の変動要因だ」とみている。日銀がすぐに金融緩和策をやめることはないだろうが、長期金利の動向と住宅ローン金利の行方には要注意だ。

 ある専門家は「消費税増税後の状況を見極めてからマンションを買っても遅くはない。場合によっては、増税を機に値崩れを起こす可能性もある。高いマンションを購入するのを諦めて、賃貸で暮らすというのも選択肢の1つだ」と話す。

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