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増税前に買ってはいけない! 「虚大都市・東京」のマンション事情増税と金利上昇で「値下がり」へ(3/5 ページ)

» 2018年09月19日 07時30分 公開
[中西享ITmedia]

手が届かない「山手線の内側」

photo トータルブレインの久光龍彦社長(同社提供)

 購入可能なマンション価格は年収の5〜7倍程度とされている。いまは超低金利の時代であるため、限度いっぱいに住宅ローンを借りてもそれほどの金利負担にはならない。それで計算すると、17年度の平均価格である5921万円のマンションを買うためには、年収が1000万円以上なければ購入が厳しくなる。年収が1000万円以上となると、一部上場企業に勤務しているか、夫婦共働き世帯に限られるだろう。

 この価格は部屋面積が70平方メートル程度の新築マンションを想定していて、場所的には山手線の外側から郊外ということになる。山手線の内側となると、1億円以上の高値となり、購入できるのは富裕層だけだ。都内のマンション、中でも山手線近くか山手線か内側にあるマンションは贅沢(ぜいたく)品となり、普通のサラリーマンでは手が出せない水準にまで値上がりしている。1億円以上の「億ション」が買えるのは、IT関連の起業で成功した創業者、親からの贈与、金融商品の値上がりで稼ぐなどした一部のお金持ちに限られるのだ。大半のサラリーマンは、実質的な給与所得の伸びが、マンション価格の上昇に全く追い付いていない。

 都心部のマンションの一部には、価格が高くても売れ行きの良い物件が確かにある。しかし、郊外物件について前述の久光社長は、「郊外マンションを買っている人は年収が500万円から600万円の中小企業に勤務する人が多く、70平方メートルくらいの物件を3500万円程度で買えていた。しかし、建築価格の上昇で、この価格が郊外でも4500万円くらいに上がってきている。問題なのは、中小企業に勤務している人は、マンション価格が値上がりしたものの、それに見合うだけの所得が増えていないことだ。このため価格が高い郊外マンションは多くが売れ残っている。10〜15%は価格を下げないと売れないだろう」とみている。

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