#SHIFT

「地方の障害者雇用」を創出するリクルートのテレワーク働き方改革で「地方格差」なくせ(4/5 ページ)

» 2018年09月19日 08時30分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

仕事は新たに作ることができる

 中央省庁の障害者雇用の水増しが大きな問題になっている現状について、三井さんは雇用ありきではなく、障害のある人が戦力として働ける仕事を見つける努力をすることが先だと指摘する。

 「私たちは法定雇用率を上回る採用をしていますが、雇用することが目的とは考えていません。あくまで障害のある人を戦力化することが重要なのです。雇用することが目的化してしまうと、企業も障害のある人もお互いが不幸になるだけです。水増しの問題は、拙速な解決をするのではなく、障害のある人に適切な仕事を、ゆっくり時間をかけて見つけるきっかけにすべきではないかと個人的には思います」

 三井さんが話す通り、リクルートオフィスサポートでは、リクルートがかつてアウトソーシングしていた仕事を請け負うだけでなく、新たな仕事も生み出している。インターネットの技術が発達したことで、リクルートグループの媒体も紙からネットへとシフトした。その結果、掲載情報をPCの画面で審査する仕事が生まれたのだ。

phot 在宅勤務者の1日の仕事の流れ(同社提供資料より)

 「AIに仕事が奪われるといわれていますが、インターネット上での仕事が増える過程で、AIだけではニュアンスを判断できない仕事も出てくるはずです。

 私たちも障害者のある人が、どんな仕事ができるかと考え、立ち止まっていたなら、恐らく雇用は進まなかったでしょう。この人を戦力化したいと本気で思って、この人にはこの仕事を任せようと決めたときから、歯車が回り始めました。

 規模が大きなリクルートだからできているといわれるかもしれませんが、そんなことはないと思います。私たちにもやらない理由はたくさんありました。在宅雇用にしても、『何かあったらどうしよう』と最初は思っていました。どんな問題が起きる可能性があるのか、分からなかったからです。ところが実際に地方で始めてみると、結局、『何か』はなかったのです」

 さまざまな障害のある人の雇用に積極的に取り組んでいる一方、発達障害のある人にまだアプローチできていないのが今後の課題だという。三井さんは「まだまだやるべきことがある」と、障害のある人が普通に働ける仕事と環境を今後も作っていく考えだ。

phot チャットツールによって始業や終業、業務報告をしてもらい円滑なコミュニケーションができる環境を整えている(同社提供資料より)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.