巨人の高橋由伸監督が、古巣と「絶縁」する日は来るのか赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2018年10月05日 07時30分 公開
[臼北信行ITmedia]

球団は責任を感じなければいけない

 高橋監督には若手育成の面を評価する声も出ているものの、実はこれにも方々から異論が出ている。チーム内外において「岡本(和真内野手)や吉川(尚輝内野手)らヤングGの今季躍進は高橋監督が指導したり、積極的にスタメン起用したりしたおかげという見方が多いが、現実はそうじゃない。彼らは二軍で鍛え上げられたからこそ急成長した。そして一軍昇格後の活躍は一軍の井端(弘和)内野守備走塁コーチの指導のたまものですよ」などと指摘する声も少なくない。

 しかも現役時代から話し下手だった性格は監督になって多少改善されたものの、基本的には口数が多くなかったとも聞く。だから報道陣向けのコメントもどこか他人事でつまらないし、リップサービスの類もこれまでほとんど見聞きしたことがない。

 自ら率先して言葉を発信しないから「暗い」というイメージがどうしても先走りし、熱狂的かつ優しい巨人ファンを除いた人たちとの距離感がますます広がったのも致し方ないところだ。その影響もあるのか。今季は試合中のベンチでメモにペンを走らせる姿がネットユーザーから嘲笑の的になっていたのも、何だか哀れに思えた。

 これでは人気が上がるはずもない。球団の中から「やっぱり由伸を監督に抜てきしたのは失敗だったんじゃないのか」と、その行方を不安視する言葉が出るのも無理はなかった。そう考えると今季限りでの「辞任」は必然だったのかもしれない。

 だが、このように指揮官には明らかに不向きの高橋監督をいきなり担ぎ出してしまった球団側は大いに反省しなければいけないと思う。経験不足の高橋監督に対し、有能で経験豊富なコーチ陣の人選や選手補強などの面でバックアップする体制をまともに整えられなかった点についても責任を問われて当然だ。

 なにより高橋監督の側に立ってみれば、まったく指揮官をやるつもりもなかったのに、いきなり重圧の大きい人気球団の現場トップという大役を任されてしまったのだから簡単に結果を出すのは難しいに決まっている。

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