「全国のホステルに泊まり放題」が広がれば、どんな人が増えるのか水曜インタビュー劇場(お帰り〜公演)(4/7 ページ)

» 2018年10月31日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

「ホステルパス」導入の背景

土肥: 次に「ホステルパス」について話を聞かせてください。さまざまな業界でサブスクリプションの導入が進んでいますが、なぜホステルで始めようと思ったのでしょうか?

柚木: 学生時代、京都のゲストハウスで働いていました。そこにはベッドが18あって、基本的にスタッフは1人。お客さんの顔と名前が一致していたので、安心した関係の中でサービスを提供することができていました。京都のようなゲストハウスを運営したいなあと思っていたのですが、その一方でスタッフの体調や防犯などのことを考えると、1人ではなくて、2人以上で運営したいなあと考えていました。

 2人で運営するには、どのくらいのベッドが必要になるのか。試算したところ30ベッドほど必要だったので、Little Japanでは34ベッドを用意しました。ただ、運営してみると、「お客さんが多いなあ」と感じたんですよね。お客さんの顔と名前が一致するどころか、一度も顔を合わせないままチェックアウトする人も多くて。こうした関係性は自分がつくりかったものではないと感じていました。

 じゃあ、どうしたらいいのか。ベッド数を半分にすればいいのか。ただ半分にすると、会社が潰れてしまう(笑)。知っている人が半分ほどいれば、なんとかなるはず。チェックインのときも「ただいま〜」「お帰り〜」といった会話だけで成立すれば、京都で働いていたときのような場所をつくれるのではないか。このようなことを考えたときに、「泊まり放題の年パスを発行して、それを利用する人がいれば課題が解決するのでは」といったアイデアが浮かびました。

 Webサイトに年パスのことをこっそり書いたところ、それを見た人から申し込みがありました。その後、この仕組みはしっかりとやらなければいけないと考え、ブログのほかにSNSでも紹介したところ、数十人から問い合わせがありました。

土肥: どのくらいの人が加入したのですか?

柚木: 10人ほどです。もっとたくさんの人に加入していただきたいのですが、パス用のベッドはそれほど多くありません。これ以上増えると、パス以外のお客さんが泊まれない、または泊まりにくい状況になるので、現在は数を制限させていただいています。

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