大阪勢が東京に“殴り込み” 過熱する高級食パン戦争長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/7 ページ)

» 2018年11月06日 06時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

完全無添加最上級食パンを実現したPanya芦屋

 低温長時間熟成により、耳までやわらかくおいしい完全無添加最上級食パンを実現したPanya芦屋は16年9月、関西の高級住宅街で知られる兵庫県芦屋市にオープン。プレオープンで300人が行列をつくり話題となった。17年9月に、神戸市中央区に三宮店を出店した。

 そして、17年11月には世田谷区の駒沢公園近くに新店をオープンして、東京初進出を果たした。さらに18年5月に「尾山台店」、8月には「玉川高島屋S・C店」と、立て続けに出店しており、世田谷で勢力を拡大している。

 また、16年10月に大阪市西区阿波座で創業し、大阪市内に7店を展開するまでに成長した「高匠」も、ふわっとした食感でほんのり甘い食パン1種のみ販売する専門店だ。近いうちに東京進出を予定している。

大繁盛のセントルザベーカリー

 首都圏に攻め込む大阪勢に対して、迎え撃つ東京勢も負けてはいない。

 東京の高級食パンブームの火付け役は、13年6月にオープンした銀座の「セントルザベーカリー」(東京都中央区)である。今なお、2時間待ち、3時間待ちも覚悟の上で長蛇の行列に並ばないとお目当ての商品が買えない店だ。1人1回の来店で、3本まで購入可能。1本は2斤のサイズとなっている。

 同店は03年に創業したバケットで名高い「ヴィロン」(東京都渋谷区)の姉妹店。ヴィロンの人気が高かったため、当初より注目を集めていた。店内の工房でつくって提供しており、作業風景をガラス越しに見ることができる。

 「角食パン」と「プルマン」(ともに864円)、「イギリスパン」(756円)の3種類があり、角食パンは生食用、イギリスパンはトースト用、プルマンはお好みでどちらでもというのが、お店が推奨する食べ方だ。

 一番人気の角食パンは、北海道産小麦の「ゆめちから」を使用。湯種・液種を使っており、しっとり、もっちりとした食感が特徴だ。ただし、耳までやわらかいわけではない。併設のレストランには、2種類または3種類の食パンを食べ比べることができるセットがある。

 食パンを食べ比べるセットは、食パン2種類とバター付きのセットが一番安くて1080円。3種類なら1188円となる。3種類の食パンを、バターとジャムで食べ比べるセットとなると1836円。3種類のバターは芳醇な味わいとなっており、6種類のジャムはフランスやベルギー産で素材の風味を生かした上品な仕上がりだ。これらバターとジャムに出会えるだけでも行く価値がある。トーストは入口付近の棚に置いてある、デロンギのトースターをセルフで1台席まで運んで焼く、独特のスタイルだ。

 サンドイッチは一番安いオムレツが864円、全般に1500円前後の商品が多い。食パン購入者とカフェ利用者は別の列に並ぶ。カフェの場合、高額でも連日満席で30分から1時間は並ぶケースが多い。

 セントルザベーカリーは18年11月1日、青山(東京都港区)に2号店を出店している。

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