「人肉レストラン」一気に拡散 フェイクニュースにだまされる大人たち世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)

» 2018年11月08日 07時30分 公開
[山田敏弘ITmedia]

「準備ができていない」のは、子供だけではない

 カリフォルニア州の法律では、州の教育委員会が、カリキュラムやテキストなどの教材、学生を評価する基準を決めて学校に通知することになる。つまり、授業の一環として、メディア・リテラシーをきっちり教える。また教師も、メディア・リテラシーを教えるための研修を受けなければならない。

 このように、カリフォルニア州はフェイクニュースを危険視し、子供に教える教科として本気の対策に乗り出すつもりなのである。

 ただ、この「情報を見る準備ができていない」という指摘は、決して子供にだけ当てはまるのではない。大人だって同じなのではないだろうか。ちなみに米国では、調査会社のギャラップの調査によると、成人の47%が「メディアにバイアスがありすぎて事実を見極めにくい」と答えている。

 これは自戒の念を込めて言うが、何よりもメディア側がフェイク情報を出さないよう事実確認の強化が必要だというのは大前提である。以前なら、出版物に載せてしまうと修正が大変なため、校閲の工程で事実関係などをチェックした。だが後で修正できてしまうインターネットの時代には、それが軽視されてしまっている。そうした時代の変化もフェイクニュースが広がる背景にはある。だからといって、チェックをおろそかにしていいというわけではないのだが。

 その上で言うが、消費する側の大人がだまされないためには、まずはカリフォルニア州と同じロジックで、ネット時代のニュースの見方を知る必要があるのではないか。つまり「準備」をする必要がある。

 そんなこと言われなくても分かっている、という人もいるだろう。掲載サイトを確認したり、記事の情報元に当たってみたり、執筆者についてチェックしたりと、それぐらいはしていると。

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