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2カ月、5万円で会社設立! 「社会保険料の節約」に悪戦苦闘した元公務員の“生存戦略”元国税局職員が明かす「サバイバル術」(2/6 ページ)

» 2018年11月09日 08時30分 公開
[小林義崇ITmedia]

年間所得500万円で社会保険料が「120万円」

 試しに、年間所得500万円、世帯人数5人として、八潮市の改正後の算式に当てはめて計算してみると、国民健康保険料は年間83万円(「介護納付金分」は40歳未満の人にはかからないが、合わせて試算した)に上った。

phot 国民健康保険税の所得割額、均等割額、課税限度額(八潮市のWebサイトより)

 この国民健康保険料に加え、「国民年金」の保険料も支払わなくてはならない。1人当たり月額1万6340円(18年度)なので、夫婦で合わせると年間39万2160円だ。社会保険(国民健康保険と国民年金)の保険料を合計すると、年間122万2160円を支払う計算になる。

 この金額は、所得500万円に対して約25パーセントを占める。一方、会社員や公務員の場合は、事業主に保険料の半分を負担してもらえるうえ、世帯人数がいくら増えても保険料は増えないため、保険料は収入の15パーセント程度に収まる。この差は大きい。

 こうして仕組みを比較すると、いまさらながらフリーランスが家族を養うときのハンディキャップを思い知る。そういえば前職のときには給料に加算されていた「扶養手当」も、今は当然ない。独立後、収入が前職並みに近づいたと安心していたが、それでは足りないのだ。

 そこで考えたのが「法人化」だった。会社を設立して自分に給料を支払えば、私は会社員の扱いになる。しかも給料の金額も自分でコントロールできるので、社会保険料を抑えられるのではないか? この時点ではあくまで仮説でしかなかったが、その後、この考えは正しかったことを知る。

当然あるデメリット

 ただ、ここで法人化をするときのデメリットにも触れておきたい。とくに大きいのは「個人だけでなく法人の資金繰りも考えなくてはならない」点だろう。お金の出入りを個人と法人のそれぞれについて考え、所得税や法人税などを全て処理するのは、やはり大きな手間だ。

 だから、次のいずれかに私が当てはまっていれば、法人化せず個人事業主を続けることも十分考えられたと思う。

1.自分が独身(世帯人数が1人)

2.妻が会社員もしくは公務員(子どもを妻の扶養に入れられる)

 しかし、私はどちらにも当てはまらない。また、少しずつライターの仕事のほかにセミナーの依頼も増えており、法人化を経験することが何かしらのネタになるかもしれない――。そんな風にメリットとデメリットを比較したうえで、私は会社を作る方向に舵を切った。

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