次世代のソーシャルゲーム? ブロックチェーンを使ったDAppsゲームは何を変えるのかDAppsにフォーカスしたスマートアプリに聞く(2/4 ページ)

» 2018年11月09日 13時55分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 ひとつは「誰もがデータを見ることができる。ほかのユーザーのステータス情報も含めてのぞけてしまう」(佐藤氏)こと。その人が現実の世界で誰なのかは分からないが、ゲームで会った人がどんなステータスで、どんなアイテムを持っているかは誰でも分かるという世界だ。

DAppsの利用状況を調査して表示するサイト「DappRadar」。それぞれのゲームのデータはパブリックなブロックチェーンとして公開されているので、それらを分析することで、どんなゲームがどのくらい遊ばれているのか分かる

 さらに、運営会社もデータを変更することはできないので、獲得したアイテムやキャラクターは真の意味でユーザーのものになる。「アイテムなどが自分の所有物になる。ゲームの世界を飛び出して、ゲームの中のものを活用できる。お金にするということも、リアルの場でステータスを活用するということも可能になる」と佐藤氏は話す。

 これまでは、ユーザーがゲーム内でキャラクターを成長させたり、アイテムを獲得したりしても、運営会社が絶対的な権限を持っていた。極端な話、運営会社はユーザーのアイテムを消去することも技術的には可能だし、そのゲームが終了したらアイテムも消えてしまう状況だった。ところがDAppsゲームの世界では、運営会社とは無関係にユーザーはアイテムを友達に渡したり売ったりできる。仮にゲームが終了しても、アイテム自体は残り続ける。

 「スポーツもプロの世界が生まれてエンターテインメントになっていったように、ゲームもそうなるかもしれない。アイテムやステータスはユーザーさんの所有物なので、ゲームを職業にする人が現れるかもしれない」

 佐藤氏は、DAppsゲームがもたらす可能性をこのように話す。韓国や欧米ではeスポーツという形で既にゲームの興行化が始まっているが、DAppsゲームではエンターテインメントだけではなく、アイテムやキャラクターを獲得したり成長させたりするプロも存在できる。

 ソーシャルゲーム内ではアイテムやキャラクターの売買を禁止しているところも多く、DAppsが実現する世界を不健全だと考える方もいるかもしれない。しかし、例えばトレーディングカードゲームなどでは、強力なカードを売買するのは一般的だ。「青少年規制などはしていくべきだが、うまく取り組むことで健全なマーケットはできるんじゃないか」(佐藤氏)

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