“あの事件”の舞台・新潟県十日町市で味わう自然 「サンクス・ツーリズム」のススメ杉山淳一の「週刊鉄道経済」(7/7 ページ)

» 2018年11月16日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]
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帰りはJR東日本「おいこっと」で

 帰路はほくほく線ではなく、JR飯山線の観光列車「おいこっと」で長野へ。そこから北陸新幹線で東京へ。「おいこっと」は快速列車だ。しかし観光列車のせいか、ちょっとのんびり。通過駅も多いけれど、飯山駅で20分ほど停車したりする。この飯山から北陸本線で帰るというルートもある。ちなみに十日町から飯山までの所要時間は1時間半。長野までは2時間半。観光列車を楽しむにはちょうど良い時間だ。信濃川(長野県では千曲川)沿いの景色がとても良い。

photo 十日町と長野を結ぶ快速観光列車「おいこっと」
photo 一般型車両キハ110系の座席配置を残し、和モダンな雰囲気となった

 参考までに、越後湯沢から十日町駅までは、ほくほく線の最速列車「超快速スノーラビット」に乗れば約25分。一部は「ゆめぞら号」という車両だ。複数のプロジェクターを設置し、トンネルに入ると天井に宇宙、海中、花火などの映像を映し出す。日曜日限定だけど、トンネルの多い路線ならではのエンターテインメントだ。

 東日本大震災以降、被災地をめぐる研修旅行が「復興ツーリズム」「ダークツーリズム」として定着した。それももちろん意義深い。しかしもう一つ。私たちの暮らしに貢献してくれる地域を訪ねる「感謝ツーリズム」「サンクス・ツーリズム」を提案したい。水源をめぐる旅、農産地帯をめぐる旅、発電所のある街をめぐる旅……。私たちの暮らしに感謝は足りているだろうか。感謝を探す旅も良いかもしれない。酒飲みが酒を飲む理由を探ように、旅好きが旅の理由を探すようなものと言ってしまえばそれまでだけど。

photo 水鏡の川沿いを行く。新潟県内は信濃川、長野県内は千曲川

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。


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