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午後7時閉店でも店長年収1000万円超え! 愛知県「地元密着スーパー」絶好調の秘密折り込みチラシなし! ポイントカードなし!(2/5 ページ)

» 2018年11月20日 07時00分 公開
[大宮冬洋ITmedia]

給料はコストではなく経営の目的。粗利益の半分を人件費に充てる驚きの制度

 この調子で鮮魚や精肉、納豆、バター、牛乳、パンなどを紹介していると延々と長くなるので割愛する。だけど、レジについては書かせてほしい。サンヨネ蒲郡店には14台のレジがあるが、今のところ自動レジは置かれていない。レジ係は他の店員以上に愛想が良く、しかも手が早い。熟練になると、山積みになった買い物商品の一つ一つのどこを持つとバーコードを読み取りやすいのか、どの順番にかご(サンヨネには専用の買い物かごがあり、100円で売っている)に入れていけば崩れにくくつぶれにくいのかを瞬時に判断できるという。

phot 笑顔・的確・迅速が売りのレジ。常連客になると、それぞれお気に入りのレジ係がいて、そこに並ぶ

 サンヨネの従業員が高いモチベーションを保って働いていることには理由がある。代表取締役社長の三浦和雄さん(62歳)の掲げる「社員第一主義」による愛情に包まれていることだ。

 世の中には正月休みすらない深夜営業のスーパーが多いが、サンヨネは夜7時には閉まる。正月もちゃんと休む。

 「それぞれに家庭がある社員のことを考えれば、夜はできるだけ早く閉じたほうがいいのです。お客さまが私たちの商品を気に入っていただけるのであれば、お客さまのほうでご来店時間を考えていただけるはずです」

 サンヨネは終身雇用だが昇進は実力主義。管理職には20代30代の若手が目立つ。なお、給与は年功序列でボーナスは評価主義だ。サンヨネには「もうけ(粗利益)の半分を人件費にする」という驚きの制度がある。各店の店長の年収は1000万円を超える。一般的に薄給といわれる小売業では異例の水準である。三浦さんは断言する。

 「給料はコストではなく、経営の目的だと思っています。減らすという考えはありません」

 サンヨネは三浦家によるオーナー経営で非上場企業だ。そのオーナー家が利益を独占しようとせず、社員も家族の一員だと思えば、自然と「十分な給料を払うことは経営の目的」という考え方になり、その実現も可能なのだ。

 男女別の仮眠室もある立派な作りの従業員休憩室や体が冷えない工夫を建築時に施したバックヤードなど、人に関する部分には惜しみなくお金をかける。

phot 前職は住宅メーカーの営業マンだった店長の宮路さん。「サンヨネにはノルマがなく、家族が安心しておいしく食べられるものだけをおすすめできる」とこの笑顔

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