18年に入ると、米国で新たな動きがあった。2月には上院情報委員会に出席したFBI(連邦捜査局)のクリス・レイ長官、CIA(中央情報局)のマイク・ポンペオ長官(当時)、NSAのマイケル・ロジャース局長(当時)などそうそうたる面々が「ファーウェイ製品の使用はやめた方がいい」と述べて話題になった。続いて8月には、米国防権限法により、あらためて米政府や関係機関でファーウェイとZTEの機器の使用を禁じた。
米国とファーウェイの間には、こうした長い因縁がある。
ただ、ファーウェイを警戒する動きをしているのは米国だけではない。カナダはファーウェイの社員がスパイ行為に関与している可能性を指摘してビザを発給しなかったことがある。オーストラリアはすでに、ファーウェイ製品の使用を政府などで一部禁止している。ドイツや英国にはすでにファーウェイ製品をセキュリティ調査する組織も設置されている。
なぜ今、こうした国々はこぞってファーウェイの排除に動いているのか。その理由は、中国の超法規的な国内法がある。中国では、政府によって命じられれば、国内企業や市民、組織は治安当局に協力と支援をする義務があると法律で定められている。ファーウェイのような企業であっても、政府に協力するよう命じられれば、どんな要請にも全面的に従う必要がある。
つまり、政府が命じれば、ファーウェイの販売した機器に不正アクセスできるということだ。しかもそこから、政府系ハッカーなど20万人近くいる中国のサイバー軍団がマルウェア(不正プログラム)をどんどん埋め込んだり、情報を抜き出したりするだけでなく、破壊工作を実施することもできる。
そして現在、西側諸国がさらに危機感を募らせている事態がある。第5世代移動通信システムである「5G」の到来だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング