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松屋と吉野家でこれだけ違う 「もうかる立地」の方程式とは?ネット上の「立地」も大事(6/6 ページ)

» 2018年12月04日 06時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]
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忘れてはいけない賃料の存在

 このように考えていくと「とにかく良い立地に出店すればいいじゃないか!」と思いがちですが、忘れてはいけないのは賃料です。当然ながら乗降客数が多い駅前の物件は賃料が高くなります。

 一般的に、飲食店では売上高に対してFL比率を考える必要があります。Fは「Food cost」の頭文字で売上原価、Lは「Labor cost」の頭文字で人件費をそれぞれ指します。売上高に対するFLの比率合計を60%以内、さらに家賃も含めたFLRコスト比率(Rは「Rent」の頭文字で賃料を指す)を70%以内に収めることが重要とされています。あまり高い賃料をかけてしまうと収益を確保するのが難しくなってしまいます。

「店舗立地」から「ネット上の立地」へ

 ここまでは「良い立地」について話をしてきましたが、「悪い立地」では絶対に繁盛しないかというとそうではありません。たとえ立地が悪くても素晴らしい商品とサービスで根強いファンを獲得しているお店もあります。さらに、今のような口コミのグルメサイトやSNSがなかった昔は、どうしても店舗立地という直接的な条件が店舗選択の優位性を得ていました。

 しかし、現在では店舗立地の悪いお店でも、インターネットなどで店舗の存在を知ってもらえるようになったため、「名物商品」「インスタ映え」「有名店」「こだわり食材」といった明確な強みを持った店舗は、ネット上の口コミによる集客効果で繁盛店となるケースが少なくありません。つまり、店舗立地ではなく「ネット上の立地」の重要性が以前にも増して高まってきているのです。

 このように、もうかる立地を得るためには、自社の強みやターゲットを明確化した上で、そのビジネスモデルに合致する良い立地を選定していくことが重要となります 。

著者プロフィール

三ツ井創太郎

株式会社スリーウェルマネジメント代表取締役。大学卒業と同時に東京の飲食企業にて店長などを歴任後、業態開発、FC本部構築などを10年以上経験。その後、東証一部上場のコンサルティング会社である株式会社船井総研に入社。飲食部門のチームリーダーとして中小企業から大手上場外食チェーンまで幅広いクライアントに対して経営支援を行う。2016年に飲食店に特化したコンサルティング会社である株式会社スリーウェルマネジメント設立。代表コンサルタントとして日本全国の飲食企業に経営支援を行う傍ら、日本フードビジネス経営協会の理事長として店長、幹部育成なども行っている。著書の「飲食店経営“人の問題”を解決する33の法則(DOBOOK)」はアマゾン外食本ランキングの1位を獲得。飲食店経営者の為になるブログを毎日更新中。


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