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» 2018年12月04日 06時00分 公開

一筋縄ではいかない:ATMを銀行業界で共同管理? 脱自前主義加速も、足並み乱れ

維持費がかさむATM(現金自動預払機)を全国の銀行で共同管理するアイデアが浮上している。既に業界トップの三菱UFJ銀行と2位の三井住友銀行がATMを共通化する方針を固めた。超低金利や人口減少で銀行の経営が厳しくなる中、生き残りを賭けライバル同士が手を結ぶ時代を迎えたとも言えるが、各行がすんなり賛同するかというと一筋縄ではいかないようで。

[産経新聞]
産経新聞

 維持費がかさむATM(現金自動預払機)を全国の銀行で共同管理するアイデアが浮上している。既に業界トップの三菱UFJ銀行と2位の三井住友銀行がATMを共通化する方針を固めた。超低金利や人口減少で銀行の経営が厳しくなる中、生き残りを賭けライバル同士が手を結ぶ時代を迎えたとも言えるが、各行がすんなり賛同するかというと一筋縄ではいかないようで――。

photo 平成30年9月中間連結決算を発表する三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長=11月13日、東京都中央区(林修太郎撮影)

 「無駄なATMを置く必要はない。将来的には日本の金融機関が共同出資で運営会社をつくる形もある」

 三菱UFJ銀を傘下に持つ三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長は13日の記者会見でこう述べ、三井住友銀とのATM共通化の意義を強調するとともに、コスト削減に向け銀行界全体で取り組むべきだとの持論を展開した。

 三菱UFJ銀と三井住友銀は他行の顧客がATMで現金を引き出す場合、平日の日中なら108円の手数料を徴収しているが、互いの顧客に対しては無料とする方針だ。来年前半にも計2000カ所以上の店舗外ATMを対象に開始し、いずれ全ATMに拡大することも検討する。

 平野氏の語る共同会社化はこの延長線上で、現金の輸送やATMのメンテナンスなど賛同を得られる範囲から業界内に協調を呼びかけ、管理・運営の共通化を進めるのではないかと見る向きもある。

 ATMの共同運営をめぐっては全国の大手銀行や地方銀行、コンビニエンスストア大手などが出資して平成11年に設立したATM運営会社「イーネット」が既にあり、同社を活用すべきだという案も出ている。

 現金信仰が強い日本では、これまでATMの使い勝手は利用者が銀行を選ぶ際の重要な指標だった。各行は市街地の一等地に拠点を構え、その機能性を競い合ってきた。

 ただ、振り込みなどの手続きもスマートフォンがあればできるようになり、今後はキャッシュレス決済の急速な普及が見込まれる。超低金利による貸出業務の利ざや縮小で「自前主義」を守れる余裕は既になく、年間2兆円ともいわれる現金決済の維持コストをどう負担するか、各行にとって頭痛の種だ。ATMは既に競争領域ではなく、経済活動を支える社会インフラとして共同管理する時代が近づいている。

 とはいえ業界が雪崩を打って共通化に突き進むかといえばそう簡単でもない。

 次期勘定系システムへの移行作業を進めるみずほ銀行は三菱UFJ銀と三井住友銀の相互無料化に当面加わらない。みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長は14日の記者会見で、「(ATM共通化は)正式な話をもらっていない。(みずほ銀は)イオン銀行と既にATMを共同利用しており、かなり競争力のある状態だ」と述べ、協業に慎重な姿勢を示した。

 みずほも将来的には共通化に参加するとみられていただけに、つれない対応に「システム移行で忙しいという話だったから、そりゃ大変ですねと言っていたのに……」(大手銀幹部)と不満の声が上がっている。

 これまで大手銀のATM削減の動きをビジネスチャンスとみなしていたセブン銀行やローソン銀行などコンビニ系銀行にも逆風だ。相互に手数料を無料にする動きが拡大すれば利用者が大手銀のATMに流れる恐れがあるほか、一定条件でコンビニATMの引き出し手数料を無料にするといった大手銀の優遇策も見直される恐れがある。

 利用者にとっては便利なATM共通化。ただ、業界内の足並みをいかにそろえていくかが今後の課題となりそうだ。(経済本部 田辺裕晶)

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