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インタビュー
» 2018年12月05日 08時00分 公開

水曜インタビュー劇場(45年以上前公演):ソ連で生まれた1100代目の「ハエ」が、なぜ注目されているのか (3/7)

[土肥義則,ITmedia]

ストレスに強く、すぐに太るイエバエを育成

土肥: ロシアに面白い技術はないかなあ? と探す一方で、イエバエにせっせとエサをやっていたんですよね。当時、どのような気持ちだったのでしょうか?

串間: ワタシはビジネスマンではなくて、理系の技術者。ということもあって、目の前にいるイエバエに大きなビジネスチャンスがあることはよく分かりませんでした。ただ、飼料や肥料をつくることができるので、「世の中に必要とされるモノだ」と考えていたのですが、いつその日がやって来るのかよく分からず、エサをやっていました。

 そうした日々が続いていたわけですが、5年ほど前からちょこちょこ声がかかるようになりました。「この技術は面白い」「一緒にやりませんか」と。そろそろいいタイミングではないかと考え、2016年12月に会社を立ち上げて、イエバエ事業を引き継ぐことにしました。

土肥: イエバエを使って飼料や肥料をつくりだすわけですが、そもそもどうやってつくっているのでしょうか?

流郷: 基本的な仕組みはとてもシンプルなんです。生ゴミや動物の排せつ物など有機廃棄物を用意して、専用トレーの上にイエバエの卵をパラパラとまく。飼育室に放置するだけで、大きく育った幼虫が飼料になって、幼虫の排せつ物が肥料になっているんです。不要なゴミがわずか1週間で、飼料と肥料になるんですよね。ちなみに、一般的なイエバエの場合、3週間ほどかかります。

土肥: 基本的な流れは分かりました。それにしても、なぜ45年間もかけて、交配を重ねて品種改良を続けてきたのでしょうか?

流郷: ストレスに強くて、すぐに太るイエバエを育成するためなんですよね。

 満員電車のなかで、通勤をするのは大変ですよね。人間と同じように、ハエも過密空間のなかで生きていくのは大変なんです。それでも生きていける能力があって、卵をよく産む。その卵がふ化して、ふ化した幼虫は太りやすい。こうした種を見つけ出して、選別交配しているんです。

 旧ソ連は宇宙で長期滞在するために、イエバエに注目しました。食料循環サイクルに活用する予定だったのですが、過密空間の中だったので、すぐに死んでしまったんですよね。旧ソ連は過密空間のなかでも、生きていける種を選別するノウハウを持っていたので、それを先代が購入したわけです。

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