資産の15%を失っても、あなたは夜寝られますか?渋谷豊の投資の教室(4/4 ページ)

» 2018年12月06日 07時40分 公開
[斎藤健二ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

サイトウ: 下がってもぐっすり寝られるためには価格を見なければいいんですか?

渋谷: いいえ、価格が想定したリスクの範ちゅうに収まっていることは、確認したほうがいいですね。

 ところで先日、トヨタとソフトバンクが戦略的提携を発表しました(「トヨタとソフトバンク、新会社「MONET」設立 目指すは「自動運転×MaaS」の実現」)。両社は、お互いにいいなと思い合えるすごい力を持った会社ですね。だから提携を発表しました。ところが両者の株価の動きだけでみるとブレ幅が全く違います。自動車のキングとITのキング、共にキングであるわけですが、でもこの2社の株価の動きは全く別物で、ソフトバンクは上下の動きが激しいけれど、トヨタの株価はそこまで激しくはない。どっちが偉いか良いかではなくて、それを知ったうえで株を買っているかが大事なわけです。知らない人が、ブレ幅が大きい株はダメだと言うことがありますが、そんなことはなくて、ブレ幅の大きいほうが将来の期待の高さを表していることもあります。

トヨタ自動車とソフトバンクグループの株価推移

サイトウ: ブレ幅が大きいと将来の期待が大きくなるんですか?

渋谷: 「安定しているね」という人だとブレ幅が少ないんですが、逆に成功する期待も失敗する可能性も両方ある「未完の大器」はブレ幅が大きいですよね。債券などは成長期待がないので価格はあまりブレないのですが、株は成長期待があるからブレるんです。

 期待をいい意味で上下に裏切る人たち、すごいこんなことやるんだ! みたいな人っていますよね。Teslaのイーロン・マスクとか。とんでもないことやって、良いことも悪いことも両方起こり得る、そういう人はブレ幅が大きくなります。トヨタだったら毎年2兆円ぐらい利益を着実に稼いでくれそうだけど、突然来年に10兆円の利益を稼ぐまではいかないんだろう。でもイーロン・マスクならもしかしたらいきなり10兆円を稼ぐかもしれないな、みたいな感じです。

 リスクは把握することがポイントで、リスクがあること自体は何の問題もありません。

話し手 渋谷豊

ファイナンシャルアカデミー取締役。中上級者向け講座では教壇にも立つ。大学卒業後、邦銀勤務を経て、慶應義塾大学大学院 経営管理研究科(MBA)を修了。その後、米系、仏系銀行のプライベートバンク部門にて、富裕層の資産運用業務に13年間従事。2008年の世界的金融危機を体験し中立的な金融アドバイスの必要性を痛感し、独立系投資顧問会社代表に就任した後、さらに幅広い層に金融経済教育を広めるためファイナンシャルアカデミーに参画。現在は投資信託スクールでの講師のほか、Jリーグの選手への講演等も行う。ファイナンシャルアカデミー

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.