加えて、労基署からの是正勧告・指導以外にも罰則が設けられています。残業規制に抵触した場合は、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が課されます。これが適用されるのは法人だけではなく、担当者も含みます。典型的な例でいえば、残業時間の上限を超えてしまった従業員の責任者ですね。6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が課されることになります。これは併科して法人も30万円以下の罰金が課されることがあるのです。それなりにインパクトがあることですので十分な対策が必要です。
皆さんもご存じかもしれませんが、電通の女性社員が自殺した事件では、労基法違反で刑事告訴され裁判になりました。その際にも、法人つまり会社だけでなく、上司も告訴され書類送検もされました。会社だけでなく責任者、担当者も含めて罰則が適用されるので、対策をする必要があります。
では今後の対応をどうするかです。基本的には、告示などが法律になっただけなので何も変わらないという意見もあります。ですが、特別条項の条件は従来よりも非常に厳しくなっております。これを契機として、労基署の動きも厳しくなると考えられます。もちろん労基署がどこまで踏み込んでくるかは担当官によって変わるのですが、少なくとも法律上は特別条項の要件が従前より明らかに厳しくなっていますので、厳しくなる可能性以外はあり得ないのです。
従来以上に厳しくなる以上、労働時間を当然見直さなくてはなりません。例えばですが、裁量労働制の導入や生産性向上、業務プロセスの見直し、法律が用意しているフレックスタイムや勤務間インターバル、高プロの導入などによって、それぞれの会社に合った形で残業時間を減らすための対策を講じる必要があります。来年4月から始まってしまうので、検討の優先順位はかなり高いです。
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