分散投資でも防げない2つのリスクを知っていますか?渋谷豊の投資の教室(5/6 ページ)

» 2018年12月21日 11時19分 公開
[斎藤健二ITmedia]

分散投資でも防げない、2つのリスク

サイトウ: システマティックリスクとシステミックリスクですか? 舌が絡みそうなリスクですね。

渋谷: システマティックリスクによって、ポートフォリオを組んだとしても守りが効かない状況が起こります。一般論でいうと、金利が上がると金が上がる、債券価格が下がるとか、株が上がると債券価格が下がるとか、逆の動きをするものが必ずあります。分散投資でポートフォリオを作るときは、このような相関関係を見ながら作り上げていきます。

 A型とA型を組み合わせるとA型的な意見しか出てこないので、A型とB型を組み合わせると中間の答えが出てくる。組み合わせの妙味で分散をしているんです。逆の動きを組み合わせることで価格の下落を抑えられます。その互いの価値を引っ張りあう機能が効かなくなるリスクを、システマティックリスクといます。たまに聞きますよねトリプル安とか、円安・株安・債券安とか、あとは金も下がって株も下がって債券も下がったとか、お金はどこにいったんだろうという時。

 つまり何かが下がると何かが上がるというのではなく、全てが下がるという状況が10年に1、2回くらいあるんです。その時はどんな分散を効かせていようと下がります。

システマティックリスク。資産を分散させても消すことのできないリスクをシステマティックリスクという

 現在の金融工学では現代ポートフォリオ理論がベースになっていて、それをもとに分散投資していても、10年に1回くらいはそれを免れない状況が来る。そういう時はポートフォリオも絶対ではないんだということをきちんと理解していれば、運用に失望することもありません。投資は長く続けることに意味があると聞いていたので長く続けようと思っていたのに、分散投資してもダメじゃんと途中でギブアップするのはすごくもったいない。

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