UberもAirbnbもNG、韓国財閥が阻む新興ビジネス最新テクノロジーの取り込み(1/6 ページ)

» 2018年12月26日 17時44分 公開
[ロイター]

[ソウル 18日 ロイター] - チェ・パダさんが自分のカーシェアリング会社「Luxi」を現代(ヒュンダイ)自動車<005380.KS>に売り込んだとき、最新テクノロジーを取り入れることに失敗すれば、韓国最大手の自動車メーカーである現代自に未来はないと訴えた。

チェさんの売り込みは功を奏した。現代自は、Luxiの株式12%を500万ドル(約5億6000万円)で取得することに合意。同社に取ってカーシェアリング企業への初の投資であり、新時代の輸送競争に足を踏み入れることとなった。

しかしそれから約半年後、現代自はLuxi株を売却した。失業を恐れた何千人ものタクシー運転手が同社の車をボイコットすると脅したからだ、とチェさんは指摘する。また、カーシェアリングを規制する韓国の法律に対する懸念もあったと、現代自の社員らは語る。

現代自とLuxiの破局は、アジア4位の経済大国である韓国で、厳格な規制や強力な労働組合、そして「チェボル」として知られる強大な家族経営の財閥にまん延するリスクを敬遠する文化が、いかにスタートアップ企業の成長を妨げているかを浮き彫りにしている。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、現代やサムスンといった一握りの大輸出企業が数十年にわたりけん引してきた同国の成長モデルが、中国との競争や労働コスト上昇によって、限界に達していると考えている。

自動車や船舶、半導体分野などの成長減速を補うため、韓国政府は昨年、新興企業を管轄する中小ベンチャー企業省を新たに設置し、新たなテクノロジー育成に向けた予算を増やしている。

だがその一方で、経済秩序をひっくり返したり、強力な労働組合を怒らせたりすることを政府が恐れるあまり、スタートアップ企業のために厄介な規制を撤廃する動きは遅々として進んでいない、とロイターが取材した10人以上の起業家や投資家、経営者は語った。

そのため、技術に精通しているという韓国のイメージとは裏腹に、革命的なテクノロジーに対して驚くほど抵抗感がある、と彼らは口をそろえる。

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