従業員に、「自分が選んだ食品がどのような場所に運ばれていくか知っていますか?」と尋ねてみた。すると、「送り先はいろいろな保護施設だとは聞いていますが、詳しくは知りません。ただ、将来的には貧困に苦しむ人だけでなく、災害の被災地にも送るような仕組みになればいいなと思っています」と答えた。巣鴨店では2人の担当者が寄付する食品を箱に詰めているが、作業時間はおよそ数十分だという。
バックヤードで保冷箱や段ボールに詰められた食品は、毎週水曜日、店内の商品管理室に運ばれる。ここで警備員が保管し、翌日、トラックに積み込む。店舗にさまざまな商品を運びこんだトラックは、物流センターに帰る際に荷台が空の状態になる。そこで、帰りの便に寄付する食品を積み込んで、物流センターまで運ぶ。
全国にある西友の約140店舗でこのような作業が日々行われている。既存の物流システムを活用できるように工夫しているのだ。
巣鴨店を取材した翌日、寄付する食品が運ばれた三郷物流センター(埼玉県三郷市)に行ってみた。最寄りのJR三郷駅から車で約10分走ると、巨大な白い建物が見えてくる。西友の物流センターは全国に12施設あるが、三郷センターの敷地面積は約1万1800坪あり、国内最大規模を誇る。三郷センターは東京都と埼玉県にある約80店舗をカバーしているという。取材当日も三郷センター内には多くのトラックがひっきりなしに出入りしていた。
三郷センターの従業員に商品の保管場所まで案内してもらった。巣鴨店で見た冷蔵箱と段ボールは「ゼロ度庫」と呼ばれる大きな部屋の一角にぽつんと置いてあった。寄付された食品はここで一度保管される。
記者の吐く息が突然白くなったので、室内の温度計に目を向けると1.3℃と表示されていた。ここは、水産品などを置く部屋だという。
しばらくすると、ダウンジャケットを着た男性がやってきた。男性の名前は石田恭治さん。石田さんはセカンドハーベスト・ジャパン(以下、2HJ)という団体のボランティアで、寄付された食品をトラックに積み込んで配送している。石田さんは週に3日、三郷センターを訪れている。
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