会社の数字〜注目企業を徹底分析〜

焼き鳥からうどんへ“華麗”にシフト トリドールが戦略転換できたワケ丸亀製麺で有名(1/4 ページ)

» 2019年03月06日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

なぜあの企業は「戦略転換」したのか:

 事業がうまくいっても、それが長く続くとは限らない。時代に合った新事業の立ち上げや経営方針の転換ができれば、持続的な成長につながるだろう。しかし、新しい戦略を実現し、成功させるのは簡単ではない。戦略転換した企業の収益の推移を追いかける。

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連載第3回:本記事


 飲食店コンサルタントの三ツ井創太郎です。今回は、飲食企業の「戦略転換」について解説したいと思います。

 企業は時によって大きな戦略転換に迫られます。本年に予定されている消費増税やオリンピック後の景気動向、人材不足など、経営環境の不透明な中で一つの事業、または企業全体の戦略転換を考えている企業も多いかと思います。今回はこうした中で過去に時代の流れや顧客ニーズを正しく捉え、上手に戦略転換を行った企業の成功要因を分析することで、これからの不透明な時代を生き抜くための戦略転換のルールを導き出していきたいと思います。

photo 焼き鳥業態のとりどーる(出所:トリドールHD公式Webサイト)

丸亀製麺の前身は焼き鳥店

 みなさんも一度は利用したことがあるであろうセルフうどん店の「丸亀製麺」。今では全国に展開するうどんチェーンとして知られていますが、丸亀製麺の前身は焼き鳥店であることをご存じですか?

 丸亀製麺を展開するトリドールホールディングス(HD)は1985年8月、兵庫県加古川市に焼き鳥居酒屋「トリドール三番館」として8坪のお店からスタートしました。

 ここでトリドールHDの規模を確認するために業績を見てみましょう。

photo トリドールの業績(筆者作成)
photo 国内で上場している飲食企業の売り上げランキング(筆者作成)、

 トリドールHDは売上高が1165億円、営業利益が76億円となっています。セルフうどん店としては店舗数、売上高ともに日本一であり、国内で上場している外食企業においても15位の売り上げ規模となっています。

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