「バイトは教育で真人間にしろ」が、ブラック企業につながる理由スピン経済の歩き方(1/8 ページ)

» 2019年03月12日 08時10分 公開
[窪田順生ITmedia]

 本日、大戸屋が「全店一斉休業」している。

 相次ぐバイトテロ騒動のなかで、大戸屋でも店内で「アキラ100%」のように下半身丸出しで、お盆芸をして遊んでいる不適切動画を投稿したことが発覚。そこで、再発防止のため全従業員を対象にして、SNSや仕事の姿勢など服務規程についての勉強会を実施しているのだ。

 報道対策アドバイザーとして、この手の「危機」に関わることの多い経験から言わせていただくと、今回の大戸屋の対応は「お見事」の一言に尽きる

 「お前らのせいで大損失だ」とバイトを訴える姿勢を見せた「くら寿司」、24時間営業を続けられなくなったオーナーに「契約違反」とペナルティーを求めたセブン-イレブンなど、人手不足に悩む外食、コンビニの「従業員に厳しいカルチャー」が際立っているなか、即座に「私たちの教育不足が悪うございました」と言わんばかりアクションをとったことで、好感度がグーンと上がったからである。

バイトテロ報道が続いているが、問題の本質は? (写真提供:ゲッティイメージズ)

 一斉休業による損失は1億円という話だが、ワイドショーなどでも大きく取り上げられ、広告効果は絶大で、レピテーション向上にも結びついている。まさにピンチをチャンスに、という模範的な危機対応といえよう。

 事実、勉強会開催を発表してからは、「気の毒に」と同情する声だけではなく、「素晴らしい英断だ」というエールも多く寄せられているのだが、個人的にはこの風潮に一抹の不安を感じている。

 業態・規模を問わず、不祥事が発覚した企業のトップたちが、まるでコピペしたように同じ立ち振る舞い、同じような言い回しで、謝罪会見に登壇することからも分かるように、日本の危機管理は基本、「前例主義」である。要は、成功パターンをそのまま丸パクリするスタイルなのだ。

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