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まるで“ガンダム”の世界 Amazon創業者ジェフ・ベゾスが抱く「宇宙文明」の野望宇宙ビジネスの新潮流(1/3 ページ)

» 2019年06月05日 07時00分 公開

 最近、日本国内では堀江貴文氏が出資する宇宙ベンチャーがロケット打ち上げに成功したというニュースが話題になった。一方、世界ではさらにスケールの大きな宇宙ビジネスが脚光を浴びている。現在、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏と彼が率いる宇宙ベンチャーBlue Originの動きが加速しているのだ。

 宇宙旅行、月面基地、スペースコロニー計画、地球規模の次世代通信インフラ構築と、彼のビジョンと取り組みは多岐にわたる。背景には何があるのか、昨今の動向を追った。

photo 5月、月面着陸船「Blue Moon」を発表したジェフ・ベゾス氏(ロイター提供)

宇宙移住の実現へロケット開発

 ベゾス氏は00年にBlue Originを創業している。これはイーロン・マスク氏が宇宙輸送を手掛けるSpaceXを起業した02年よりも早い。ベゾス氏がECサイト事業だけでなく、早期から民間主導による宇宙ビジネスのイノベーションにも期待してきた証左といえる。

photo Blue Originの小型ロケット「New Shepard」の打ち上げテスト(出典:Blue Origin公式サイト

 彼は数ある宇宙ビジネスの中でも、ロケットなど輸送系に対する思い入れが強い。背景には「数百万人という人が宇宙で暮らし、働けるようにしたい。宇宙までも見据えた文明にしたい」との思いがあり、そのためには今よりずっと安いコストで宇宙へ行けるようになることが最重要という彼の考えがあるようだ。

 実際、これまでに小型ロケット「New Shepard」と「BE-3エンジン」、大型ロケット「New Glenn」と「BE-4エンジン」の開発を進めている。高度100キロメートルまでの宇宙旅行を目指すNew Shepardは、5月に11回目となる無人飛行を行い成功を収めた。近い将来の有人での打ち上げにも期待が高まっている。

 また後者のNew Glennは、2段または3段式の超大型ロケットであり、全長は最大95メートルにも及ぶ。これはイーロン・マスク氏のSpaceXの現主力ロケットである「ファルコン9」よりも大きく、アポロ計画の際に人類を月に送ったサターンロケット(全長約110メートル)に次ぐ大きさだ。初打ち上げは21年に予定されている。

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