大手出版社の集英社が、実は「居酒屋」ビジネスを展開している……恐らく多くの読者が聞いたことがないのではないか。グラビアアイドルに会える「居酒屋」として、「週プレ酒場」を2017年6月から19年5月までの2年あまり運営していたのだ。『週刊プレイボーイ』創刊50周年の記念事業として運営されたもの。店舗は新宿・歌舞伎町に位置し、完全予約制だった。人気アイドルが登場する日になると、予約が瞬時に埋まってしまう日もあったという。
そして集英社には、『プレイボーイ』に続き、18年にもう一つ50周年を迎えた大雑誌がある。『週刊少年ジャンプ』だ。「週プレ酒場」が5月末で閉店して約1カ月半、今度は「おとなのジャンプ酒場」が7月11日から1年間限定で同じ場所にオープンした。
筆者が店に足を踏み入れると、「80年代スーパーヒーロー揃い踏み!!」と謳(うた)っている通り、店内は「キン肉マン」「聖闘士星矢」「北斗の拳」「シティーハンター」「魁!!男塾」「DRAGON BALL(ドラゴンボール)」「ろくでなしBLUES」といった80年代のジャンプ作品一色になっていた。店の奥の棚には、84年から88年に発売された『ジャンプ』250冊を手に取ることもできる。
オープンに先立ち、メディア向けの内覧会が7月9日に開かれた。内覧会では、80年代を代表する3人の編集者がトークショーに登壇した。現在、集英社で常務取締役を努める鈴木晴彦氏と茨木政彦氏、そして『ジャンプ』の第5代編集長を務めた堀江信彦氏(現在はノース・スターズ・ピクチャーズ代表取締役)の3氏だ。鈴木氏は「キャプテン翼」、茨木氏は「ろくでなしBLUES」、堀江氏は「北斗の拳」「シティーハンター」などのヒット作を担当した「レジェンド編集者」だ。
トークショーでは黄金期のジャンプ編集部の舞台裏が次々と明かされた。鈴木氏が、某漫画家を怒らせ、関係修復のために何時間も土下座した話や、当時の編集部は飲みに行った時であっても、ずっと仕事の話をしていたことなどを披露。また、ジャンプの3大原則である「友情・努力・勝利」についても語られ、鈴木氏は「友情と勝利は少年漫画として当たり前の要素である一方、努力を前に出してしまうと10週間で打ち切りになってしまう。むしろ『友情・個性・勝利』ではないか」と持論を述べた。
このほか、「ジャンプ編集部で歴代ベスト3に入る編集者は誰か」という話題もあった。鈴木氏と茨木氏は堀江氏の名前を挙げたが、鈴木氏は「Dr.スランプ」や「DRAGON BALL」を担当した鳥嶋和彦氏、「キン肉マン」を手掛けた松井栄元氏を挙げた。いずれも80年代のジャンプ編集部を支えた編集者であり、堀江氏も「あのときのジャンプの編集者は最強だった」と締めくくった。
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