ワタミの創業者、渡邉美樹氏が10月1日付で同社の代表取締役に復帰した。同社は従業員が自殺するなど、「ブラック企業」として批判され続けてきた。しかし、渡邉氏の復帰会見では同社がホワイト企業認定を受けたことなどを発表。離職率も業界平均から大きく下回る数値を記録しているという。いまだにブラック企業として認識されがちなワタミだが、本当にホワイト企業になったのか。ブラック企業アナリストの新田龍氏が前編、中編、後編の3回にわたり、ワタミの過去を振り返るとともに現状を検証する。2回目となる今回は、ワタミが行った「改革」をデータ面から検証する。
【前編】ワタミは本当に「ホワイト化」したのか? 「ブラック企業批判」を否定し続けてきた“黒歴史”を振り返る
【後編】ワタミはもう、「ブラック企業」には戻らない そう考えるこれだけの理由
2015年末、ほんの3年前まで無借金経営だったワタミは債務超過寸前にまで追い込まれ、経営陣は廃業、倒産さえも覚悟するほど切迫した状態にさらされていた。紙一重のところで介護事業の売却が決定し、売却益が入ってきたことによって辛うじて乗り切ることができたが、まさに薄氷を踏む状態であった。
「ワタミはブラック企業」という評判による弊害は、売り上げの低下のみにとどまらず、株価の下落や採用活動の難航など事業活動全体に打撃を与えた。その影響は関連会社にも波及し、グループ全体が経営危機に陥っていたのである。参考までに、同社が厳しいブラック企業批判にさらされていた13年度と14年度の業績推移をご覧いただこう。
★14年度業績における対前年度比数値
売上高 :連結 ▲5% 単独 ▲26%
営業利益 :連結 ▲170% 単独 ▲41%
経常利益 :連結 ▲260% 単独 ▲40%
当期純利益 :連結 ▲262% 単独 ▲381%
自己資本比率(連結):17.5% → 5.9%まで減少
株価下落率 :54.8%
採用コスト :2倍(人員計画の半数しか採用できず)
普通の企業であれば、すでに倒産を余儀なくされているレベルの大赤字だ。それでも倒産せずにギリギリのところで耐えられたのは、長年積み重ねてきた好業績と剰余利益があるからにすぎなかった。
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