株価暴落をAIで対処 ロボアドTHEOのAIが初の下落感知(1/2 ページ)

» 2020年03月16日 16時11分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 新型コロナウイルスに端を発した世界各国での株価暴落。日を重ねるごとに、深刻度は増し、株価の乱高下が現在も続いている。投資においても、このコロナショックは大きな影響を及ぼしている。

 しかし、AIの活用によって投資家のダメージは軽減できるかもしれない。お金のデザインが運営するロボアドバイザーサービス「THEO」では、市場の下落リスクを判断する「AIアシスト」が、導入から初めて危機を予測。3月2日時点でポートフォリオを組み直した。

機械学習で市場リスクを判断

 「3月最初の営業日に、市場が下がる可能性が高いと出た」。お金のデザインのチーフ・インベストメント・オフィサーのシュライバー・マルコム氏は、THEOで初めてAIのリスクシグナルが発動したときのことをこう話した。

チーフ・インベストメント・オフィサーのシュライバー・マルコム氏

 THEOでは、1カ月に1度、ポートフォリオのリバランスを行う。3月2日、シグナルが出たことを受けて、価格変動率(ボラティリティ)の高い銘柄の比率を下げ、低い銘柄の比率を上げるという調整を実施した。具体的には、新興国ETFの比率を2%ほど下げ、米国株比率を上げた。

 「2018年5月の実装から、今回初めてのシグナルが出た。AIアシストでは、各銘柄のボラティリティ、VIX(※)、そしてニュースとSNSの記事をテキストマイニングして、センチメント指数を作る。シグナルは1から5までの強さがあるが、このときは最も弱い1のシグナルだ」(シュライバー氏)

※VIX:米国の株式指数S&P500のオプション価格を元にした指標。恐怖指数とも呼ばれ、数値が高いほど投資家が不安に思っていることを示す

 同アルゴリズムのバックテストでは、リーマンショック時は2番めに強い(悪い)シグナルが出ている。3月に入ってからシグナルは悪化し、「2とか3のシグナルになっている」(同)という。

 新興国株価は、3月2日から13日までの2週間で約13%下落した。一方の米国株式は、約12.7%の下落。現時点では差はわずかだが、3月頭時点でAIはこのような判断を下した。「3月12日(取材時点)では、(AIに基づいた調整をすることで)パフォーマンスはちょっとだけいいが、まだ定量的な計測には至っていない」(同)

THEOのAIアシストの概念図
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